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さまざまな不調を引き起こす「貧血」を軽く考えてはダメ!女性なら誰もがなってしまう可能性も

日本女性の10人に1人が悩んでいる「貧血」。また、貧血とは診断されなくても、体内の貯蔵鉄が不足し、だるさなどの症状を感じている日本女性は1000万人以上にものぼるとも言われているそう。飽食の時代ではあるものの、食生活の変化や婦人科病の増加などによって、貧血の人は増えているのが現状。貧血について知っておきたい基本的な知識を、玉城クリニックの都木登妃子先生に伺った。

更新日:2020/04/27

そもそも貧血ってなに?誤解している人も多いので注意しよう

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貧血といえば、学校の朝礼で倒れたり、通勤途中で立ち眩みを起こしたり・・・というイメージを持つ人も多いのでは?
「こういう場合、倒れる前にふらふらしたり気分が悪くなったりしますが、これは自律神経のバランスが崩れ、一時的に血圧が低下して脳にいく血液の量が低下する『脳貧血』のことです。医学的には血管迷走神経性失神といいますが、医師の診断する『貧血』とは別の状態です」と都木先生。

「脳貧血」は、睡眠不足や強いストレス、風邪などによる体調の悪化が原因となることが多いが、「貧血」は赤血球とヘモグロビン(Hb)の量が不足している状態を指すので、これらは別ものだと知っておこう。赤血球は酸素を運ぶ役割があり、ヘモグロビンは赤血球中のタンパク質。両者ともに全身に酸素を届ける大切な役目を持っている。基準としては男性でHb13g/dl未満、女性ではHb12g/dl未満、妊娠中や高齢者ならHb11g/dl未満が貧血とされる(※1)。

※1 世界保健機構(WHO)の基準による

貧血でも無自覚な場合も!?月経が重い人やアルコールの多飲なども原因に

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それでは、貧血になると、どんな症状があるの? そして原因は?
「めまいや頭痛、立ちくらみ、疲れやすさなどの症状が起こります。体内の組織への酸素の供給がうまくいかないため、疲れやすくなるのですね。またそのため心拍数や呼吸数も増加するため、動悸や息切れが起こることもあります」と都木先生。しかし場合によっては全く症状が出ない人もいるので、注意が必要だそう。

「原因には、大きくわけて3つあります。1つ目は出血によって起こるもので、出産やケガ、鼻血や痔からの出血などですね。消化管などに異常があって、じわじわと慢性的に出血している場合もあります。また重い月経を繰り返しているうちに貧血になることもあります」と都木先生。
また2つ目に、体が十分な赤血球を作れないことでおこる貧血も。赤血球を作るために最も重要な栄養素は鉄、ビタミンB12、葉酸。この3つが足りないと赤血球がスムーズに作れなくなり、貧血になる可能性が。アルコールを多く飲む人は、この葉酸を消費してしまいがちなことも覚えておきたい。
「3つ目には赤血球がどんどん壊されてしまう病気がありますが、遺伝性球状赤血球症など特殊な病態なので、これは非常に少ないです。1つ目と2つ目の原因を主に知っておくといいでしょう」(都木先生)

ダイエットのしすぎや食事バランスの乱れは貧血の原因に。サプリの活用も一助に

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心当たりがある場合には、どのようなことに気を付けたらいいの?
「ダイエットや偏食などで食事のバランスが崩れると、材料不足で赤血球・ヘモグロビンをうまく作れません。材料とはタンパク質、鉄、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンCですが、なかでも重要なのが先ほど言ったとおり、鉄・ビタミンB12、葉酸の3つ。これらをしっかり補給できるバランスのよい食事を心がけましょう」と都木先生。

また食べ物はあふれているのに、鉄に関しては摂取率が年々低下しているそう。女性は月経もあるので、特に鉄を意識的に摂る必要がありそうだ。
「鉄を含む健康食品やサプリも有用です。欧米の鉄欠乏による貧血が少ない国では、人口の30%がサプリメントを使用していますので、上手に利用するといいでしょう」(都木先生)

しかし、貧血といっても原因はいろいろ。女性の場合は重い月経の背景に子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患や、出血を起こすようながんが隠れていることも。「また、妊娠中に強い貧血があると、赤ちゃんが十分な酸素をもらえず影響が出ることもあります。妊娠を希望される方は、妊娠前に状態を確かめておくほうが安全ですね。通勤や仕事中にふらついて倒れてしまうこともあるので、無理をせず病院へ相談してください」(都木先生)

教えてくれた人

都木登妃子医師

玉城クリニック副院長、日本内科学会認定内科医、糖尿病専門医。兵庫医科大学、大阪中央病院などで診療を担当、予防医学に注力し、生活習慣病の指導なども積極的に行っている。患者個々の生活習慣や暮らしを理解し、指導してくれる診療に広く信頼を集めている。

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WRITING/HIROKO KUROKI

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