[北京 24日 ロイター] - 中国共産党の第20回党大会最終日の22日に胡錦濤前総書記(前国家主席、79)が係員に付き添われて突然、退席したことに中国ウオッチャーの間で臆測が盛り上がっている。中国では党や国の重要行事は綿密に式次第が計画され、政治的な動きは人目には触れないようにされるのが常だからだ。
胡氏は党のエリート集団とされた共産主義青年団(共青団)出身。共青団系の幹部3人も今回の党大会で党指導部から排除され、個人独裁を防ぐため党が築いた集団指導体制は事実上、瓦解した。
こうした状況での胡氏の退席や、突然の退席のタイミングは「本当は一体何が、なぜ起きたのか」を巡る思惑を呼んだ。高齢から来る体調不良だったのか。もっと別の、例えば胡氏による抗議の表れだったのか。あるいは習近平総書記(国家主席)による胡氏追放劇だったのか-などだ。
在中国の欧州商工会議所のイエルク・ブトケ会頭は「一つの時代が終わったように見える」とした一方、「率直に言って、極めて不気味に見えた」とも指摘した。
退席時には胡氏は苦しそうな表情にも見え、さらには壇上から連れ出されるのに抵抗しているようにも見えた。自分の右隣に座っていた習氏とは立ち去り際に何か言葉を交わし、退任する共青団出身の李克強首相の後ろを通る際には李氏の肩に手を置く場面もあった。
ブトケ氏は「1人の老人が明らかに苦しそうにしているのに、場内の誰一人として寄り添う感情を何ら見せていないことに本当に驚愕した」と話した。
退席についての中国当局からの論評は同日遅くに国営通信新華社が英語で「体調が優れなかった」ためだと2本ツイートしただけで、これ以外の国内メディアは一切触れなかった。
ツイッターは中国ではブロックされている。国営テレビの同日夜のニュース番組は、退席前の胡氏や議場を放映した。中国外務省の24日の定例記者会見は、退席やこれに対する世界からの注目についての質問に対し、新華社のツイートを引用しただけだった。
オーストラリア国立大学のリサーチフェローのベンジャミン・ハースコビッチ氏は「このエピソードは恐らく、中国の政治エリート層内の権力闘争について以上に、中国の情報環境について多くを物語る」と指摘する。「胡氏は体調不良だったとのありふれた説明は確かにありそうなことに聞こえるが、中国共産党の高齢指導部やエリート政治集団に関する党の秘密主義からすると、もっと多くの、よりえげつない説明の方が当てはまる」と語った。
中国のツイッターに似た微博(ウェイボ)では、数人のソーシャルメディアのユーザーが胡氏についての古い投稿に論評する形で、今回の一件をほのめかしたが、同日夜までに、胡氏の名前が含まれるほぼ全ての微博投稿のコメント欄は見られなくなった。
米カリフォルニア大サンディエゴ校のビクター・シー准教授は「本当は何が起きたのか自分には全く分からないが、タイミングが少々怪しいのは明白だ」と語った。
*動画を付けて再送します。
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