非情さとビジネスが絡んだ結果だった。レッドソックスでメジャー2年目を過ごしていた沢村拓一投手(34)が8月28日(日本時間29日)に球団からメジャー40人枠を外れる措置(DFA)の通告を受けた。31日(同9月1日)から傘下のマイナー3Aウースターに合流している。
「どんな状況でも自分が投げるべきマウンドで全力を尽くす。何試合登板とか、そういったことは考えません」
決して英語が得意というわけではないが、積極的にチームの中継ぎ投手陣を中心にコミュニケーションをとった。身内に不幸があって落ち込んだ選手がいれば、声をかけ、高級ウイスキーをふるまって励ました。中継ぎ陣で登板が重なり、疲れの見える仲間たちを鼓舞した。「ブルペンは支え合いですから」と1試合、1試合を必死に投げた。
DFAは一般的に「事実上の戦力外」と表現されるが、今回は少し事情が異なる。メジャー通算では、104試合(103回2/3)で6勝2敗、防御率3・39、101三振の成績を残している。今季は後半戦の成績は、15試合で防御率6・46と決していい数字ではないが、前半戦は34試合で防御率2・55と好結果を示していた。単純な戦力外とは考えにくい。
昨季は55試合で10ホールド、今季は3ホールド。好投しても、なぜかリードした展開で起用されることは少なく、大量リードかビハインドの展開が多かった。控えめにみても〝不遇〟に映った。
レッドソックスと沢村の双方にあるメジャー3年目となる契約延長の選択権や、年俸にプラスされる各種の出来高、解雇時の違約金などさまざまな条件が重なり、DFAになっても新天地が決まらない。レッドソックスとしては、各種の報酬で支出を増やすよりは、沢村をマイナーでキープして〝飼い殺し〟にしておくほうが、球団的には財政的な負担が少なくて済む。28人のメジャー選手枠は、再建モードで来季以降を見据え、若手選手に使われている。沢村が、レッドソックスの一員として今季中に再びメジャーのマウンドに戻ることは、状況が劇的に変わらない限りほぼかなわない。
「まだメジャーで投げたいし、投げることができると自分自身を信じています」
心からのやりがいや楽しさを感じ、その力を発揮できる環境が、必ずやあるはずだ。一日も早く、吉報が届くことを祈っている。
(山田結軌)
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