評者=二神慎之介(自然写真家)
『日光』という地名から、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。荘厳な寺社の建築物。山頂から見下ろす雄大な風景。湖でやっと釣り上げた憧れの魚……。山があり、湖があり、歴史がある。日光という場所には多様な魅力があります。故に、その印象も人それぞれでしょう。私自身は、多くの野生動物が棲む自然に魅せられてカメラを手に通い続けてきました。それに夢中になるあまり、何度足を延ばしても、寺社を巡る観光や、中禅寺湖での釣りをすることは今まではありませんでした。しかし、せっかく日光に来ているのだから、ほかの魅力も楽しまなければもったいない……と頭の片隅で思っていたのも事実です。
本書は「ハイキング」にとどまらず、そんなさまざまな魅力が詰まった日光を包括的に知ることができます。日光杉並木街道の歩き方、かつては冬に愛された羊羹、奈良時代の日光開山の物語、お寺で入れる温泉、原生林の中の湖、冬景色を楽しむ雪上トレッキング、多彩な高山植物、中禅寺湖の魚たち、さらには日光コウモリ図鑑まで。この一冊を読めば、自分のなかにある「日光」とは、一味違った魅力に触れることができるはず。もちろん観光やハイキングのタイムテーブル、アクセスなどの情報もわかりやすく整理されています。さらに巻末には通年の気候や、お得な電車・バスのチケットなどの情報も網羅されているのもうれしい。日光はこれからという方にも、何度も通っている方にも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
(山と溪谷2022年8月号より転載)
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