「5G」(第5世代移動通信システム)に関連した業界の動きも、5Gの通信速度も共に加速している。各種レポートが示す予測が正しければ、5Gの未来は明るい。
Appleは2020年に、28GHz以上の周波数帯「ミリ波」と、6GHz以下の周波数帯「サブ6」の両方の5G通信を利用できる「iPhone」を投入した。AT&TとVerizon Communicationsは、いずれも自社の5Gサービスの提供エリアが拡大することを公表している。Verizon Communicationsは、2021年4月に通信速度が最大4Gbpsの5Gサービス「5G Ultra Wideband」を提供する地域が、71都市まで増えることを明らかにした。
2020年4月にSprintを買収したT-Mobileは2020年8月、スタンドアロン(SA)構成の5Gネットワークの商用運用を全米規模で開始したと発表した。SAはコアネットワークと基地局の両方を5Gの仕様で提供するため、5Gの性能を引き出しやすくなる。T-Mobileの5Gサービス提供地域に、新たに約2000市町が加わり、合計7500市町以上で同社の5Gサービスが利用できるようになった。
5G市場はこれから盛り上がる。5Gの技術が小売りや製造、ヘルスケア、モビリティの不可欠な要素となり、IoT(モノのインターネット)ネットワークに組み込まれるからだ。
まず5Gの市場予測を見てみよう。Ericssonが発行する移動通信市場の調査報告書「Ericsson Mobility Report」(エリクソンモビリティレポート)の2020年11月版は、世界の5Gサービス加入契約数が2026年末までに35億件に達し、移動通信サービスの加入契約全体の約40%を占めるようになると予測している。同レポートは5Gサービスの加入契約数が、「LTE」(Long-Term Evolution)など「4G」(第4世代移動通信サービス)の開始当初よりも大幅に伸びるとも指摘している。
調査会社IDCによる予測では、5Gの回線数は2019年の約1000万回線から、2023年には10億1000万回線まで増加する。2019〜2023年の年間平均成長率(CAGR)は217.2%となる見通しだ。IDCは2023年には、5Gが、モバイル端末が利用する回線全体の8.9%を占めるようになると予測している。
このように5G市場の成長についてはさまざまな予測がある。いずれにしても、市場が大きく成長するには多大なコストがかかる。経営コンサルティング企業McKinsey & Company(以下、McKinsey)は、2030年に5Gのハイバンドを利用できるのは、世界人口の4分の1にとどまるだろうと予測している。このためのネットワークインフラの整備には7000億〜9000億ドルのコストがかかるという。5G市場は拡大しても、5Gのハイバンドの人口カバー率は依然として低いことになる。5Gのハイバンドとはミリ波を指し、電波の到達距離は短いものの、データ伝送速度がより高速になる特徴を持つ。
McKinseyの調査部門McKinsey Global Instituteは、2020年2月に発表したレポート「Connected world: An evolution in connectivity beyond the 5G revolution」で次のように指摘している。「必要な投資規模の大きさを考えると、通信事業者にとっては険しい道のりが続きそうだ。通信事業者の多くはネットワークを増強するための設備投資をする際、株主の要求を満たすのに苦労している」
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