さまざまなブランドが、過去のアイテムを販売するためにブランド商品の再販をローンチしている。マーケットプレイスが個人の売り手からの仕入れに力を入れ直すと同時に、買い物客のあいだで「アーカイブファッション」が支持されるようになったためだ。
Glossyポッドキャストの7月のエピソードで、ザ・リアルリアル(the RealReal)のプレジデント兼チーフオペレーティングオフィサーのラティ・サヒ・レベスク氏は、利益向上計画の一環として、同社はもうブランドから売れ残った在庫を購入することはないと述べた。同様に再販マーケットプレイスのヴェスティエールコレクティブ(Vestiaire Collective)も、そのピアツーピア・プラットフォームでの販売を個人出品者に限って許可している。
アナリストによると、マーケットプレイスは、売れないかもしれない豊富な在庫で身動きできなくなることを避けたいと考えている。ザ・リアルリアルのCFO、ロバート・ジュリアン氏は2021年第4四半期の決算説明会で、Covidの時期に同社ではブランドからの買い付けを中止したと述べた。「この時期に当社は人々の自宅を供給元にすることに挑戦した」。多くのマーケットプレイスが委託販売を導入するなか、ブランドからの在庫を拒否する動きが出ている。だがアーカイブファッションにはオーディエンスが存在しており、再販はブランドにとって貴重な販売チャネルとなる可能性がある。
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アーカイブというコンセプトを後押しするブランド
昨年、インスタグラマーのケイシー・ジャクソン氏がアナ・スイ(Anna Sui)の1998年秋のドレスがポッシュマーク(Poshmark)で販売されていると投稿したところ、アナ・スイ氏本人がそれを購入できないか問い合わせたという一件があり、ブランドアーカイブの構築が注目を集めるようになった。今日、TikTokは最新のヴィンテージの掘り出し物をシェアする人々であふれている。ハッシュタグ#vintageclotheshaulはこのプラットフォームで21億ビューを超え、#archivefashionは3億2800万ビューを記録している。
それに歩調を合わせるかのように、ブランドは過去の人気スタイルを発表し、「アーカイブ」というコンセプトを後押ししている。2022年、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)はザ・マーカイブ(The M-Archive)というアーカイブプログラムをローンチし、過去のコレクションで人気のあったバッグを復刻した。たとえば、2005年に初めて発表されたバッグ、スタム(Stam)が、3月にこのプログラムを通じて復刻されている。そして今年、フェンディ(Fendi)、プラダ(Prada)、グッチ(Gucci)も2000年代初期に人気のあったスタイルのバッグを復刻した。
過去のアイテムを自社サイトで再販
2013年、マンサー・ガブリエル(Mansur Gavriel)はバケツバッグのスタイルをローンチして人気を博した。その1年後には、そのバッグはパーソナライズドファッションマーケットプレイスのリスト(Lyst)でもっとも検索されたアイテムのトップ3に入っている。また2015年に新色を発売すると、1時間以内に完売した。しかしブランドはその後、靴やプレタポルテを発売しているが、このバッグのような成功を成し遂げることに苦戦している。5月からCEOを務めているマリア・ボロメオ氏のもと、同ブランドは2023年の刷新の一環として、ブランドリコマースプラットフォームのレキュレート(Recurate)と提携し、自社サイトでの再販を導入した。MGフォーエバー(MG Forever)という再販ページは、10月12日に23点のアーカイブアイテムとともにローンチしている。現在、買い物客は小売店ではもう販売されていない、かつてのベストセラーをいくつか見つけることができる。そのなかには、オーシャンブルーの特大のクラウドクラッチ(Cloud Clutch)やハーフムーン(Half Moon)バッグなどがある。MGフォーエバーは、ブランドが提供する在庫に加え、ピアツーピアの販売も行っている。その場合、マンサー・ガブリエルはそれぞれのアイテムを鑑定して、ダメージがないかをチェックしている。同ブランドは現在の販売数については言及を避けた。
「(追加の)コレクションの発表にあたっては、提供する製品の量や幅広さをサポートできないため、つねに予期せぬ影響がある。だから私たちはそれをコントロールしようとしている」とボロメオ氏は述べた。「当社の今後の戦略は、新しいコレクションを開発する際、アーカイブから選りすぐってインスピレーションを得て、これまでだれも見たことのないようなアイテムを開発して発表することだ」。
注目のヴィンテージアイテムの人気をZ世代が牽引
マンサー・ガブリエルのオリジナルスタイルの人気は再燃している。5月にはシエナ・ミラー氏が、6月にはナオミ・ワッツ氏がオリジナルのバケツバッグを持っていた。その結果、ブランドはニューヨークで保管している物理的なアーカイブやカタログ化したイメージアーカイブを掘り起こし、MGフォーエバーで昔のスタイルを再び紹介している。さらにメインのラインでは、廃盤になったが今も顧客からの要望が多いアイテムを復活させる予定だ。
「新しさだけを追求するのではなく、在庫リスクを軽減している」とボロメオ氏は言う。「自社のアーカイブを発掘する方向に向かう動きがある。実際にローンチされたことのないアイテムもかなりたくさんある。サンプルを所有していて、それが一点ものなら、再販プラットフォームで販売する」。
再販マーケットプレイスからのデータは、供給元を問わず、ヴィンテージやアーカイブアイテムに需要があることを裏付けている。ザ・リアルリアルでヴィンテージの主任鑑定士を務めるドミニク・ハラス氏は次のように述べた。「(多くの場合)こうしたアイテムは、時間の経過とともにその価値が保たれていることがすでに証明されているため、機能的なアイテムであると同時に投資とみなされることが多い。特にセレブリティやインフルエンサーが着用して注目されるなど、過去の主要なヴィンテージアイテムには話題性があり、Z世代がヴィンテージの台頭を牽引している」。
さらに、何シーズンも前のスタイルが新たな価値を提案する。「ファッション業界の動きが加速しており、その結果、2000年代以前のファッションとくらべると、何が流行で、何が流行でないのかを追うのが難しくなっている」と、リコマースプラットフォームのリスイート(ReSuit)の共同創業者、ナダ・シェパード氏は述べている。
質の高いアイテムがブランド再販の成功に
しかし「アーカイブ発掘」戦略は、質の高いアイテムにしか通用しない。レキュレートのCEO兼共同創業者であるウィルソン・グリフィン氏は、「人々が興奮し、時間が経っても価値を保つような誰もが欲しがる商品が、ブランド再販の成功につながる」と語る。
マンサー・ガブリエルはいまのところ、MGフォーエバーのマーケティングにおいて販売するスタイルが限定商品だという性質に重点を置いている。そうすることで、余剰在庫のゴミ捨て場ではなく、より高い価値の性質があると判断される。来年には、このサービスに関してさらに大規模なマーケティングを開始する計画である。
他のプレミアムブランドも、昔のアイテムを販売するためにリコマースを導入している。アンドレア・リーバーマンズ(Andrea Liebermans)のファッションブランド、ALCの広報担当者によると、現在顧客の着用済みスタイルで構成されているアルコンシャス(ALConscious)の再販在庫に、自社の在庫から1シーズン前のスタイルを追加する予定だという。アルコンシャスは9月26日にサーキュラリティプラットフォームのアーカイブ(Archive)およびリバースロジスティクスプラットフォームのスーパーサークル(SuperCircle)との提携によってローンチした。
そして最後に、再販はブランドの買い物客、つまり買いたい人と売りたい人の両者にサービスを提供する。「顧客が最終的にその商品を売るために戻ってきて、ストアクレジットを獲得し、ほかの何かに使うことができることを知っていれば、返品などのリスクは軽減される」とグリフィン氏は述べている。
[原文:Fashion Briefing: Brands are launching resale as platforms stop accepting unsold inventory]
ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)
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