米IBMなどの研究チームが、物理分野で実際に研究されている問題で量子コンピューターが従来の計算機を超える正確な結果を出せることを初めて実証した。同社は量子コンピューターの「実用化の時代の到来を示すもの」としている。
量子コンピューターは、ミクロなものの物理法則「量子力学」をつかった次世代の計算機。一度に大量の計算ができ、スーパーコンピューターなど従来の計算機で何万年かけても解けない問題が簡単に解ける可能性を秘める。そのため、新素材の開発や創薬が飛躍的に進むと期待されている。
米グーグルは、2019年に量子コンピューターが、計算能力でスパコンを超える「量子超越性」を達成したと発表。スパコンで1万年かかる計算を約200秒で終えたとした。しかし、その後、行った計算が実用的でない、スパコンでも数日や数分でできる、といった指摘があった。
今回の研究には量子コンピューターの基本部品である「量子ビット」の数が127個のIBM製のマシンを使用。物質内の原子のスピンの振る舞いを再現させ、物質の特性を予測させた。これは、物理学者が実際に使っている手法だ。
この手法は、扱う要素が多くなるなど複雑さが増すと、従来の計算機では厳密に解くのに時間がかかりすぎて、現実的には解けなくなる。
従来の計算機と量子コンピューターに同じ計算をさせると、量子コンピューターは従来の計算機が厳密に解ける範囲を超えても、確からしい結果を出した。
専門家「エラー訂正実現前の活用法を示す成果」
量子コンピューターは、わず…
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