米グーグルは22日付の英科学誌ネイチャーで、次世代の高速計算機、量子コンピューターの「最大の課題」とされる計算時のエラー克服に近づく研究成果を発表した。量子コンピューターを広く産業利用するにはこのエラーの解決が欠かせない。グーグルは研究成果を将来の課題克服につながる「第一歩」としている。
グーグルは2019年にスーパーコンピューターが1万年かかる問題を量子コンピューターで約3分で解き、「量子超越」と呼ばれる成果をあげた。この時に用いたのは実験用の特殊な問題だった。利用の幅を広げるには、実用的な問題を解ける性能にする必要がある。
その際の最大の壁は計算時に生じるエラーへの対処とされる。量子コンピューターの基本素子である「量子ビット」は繊細で、計算の際に動作に狂いが生じることがある。このエラーが重なると求める答えにたどり着けない。
グーグルは今回、49個の量子ビットを用いた実験などを通じ、エラーを訂正する基本動作を検証した。高性能化を進めていく過程でエラーを抑え込むための一定の道筋が見えたという。
大阪大学の藤井啓祐教授は「大きな意義がある」と評価する一方、エラーの完全な解決に向けて「課題を徹底的に洗い出し、どこを改善したらさらにエラー率が下がるかを理解する必要がある」と指摘する。
量子コンピューターはスパコンでも難しい複雑な問題を高速に解き、素材開発や創薬、人工知能（AI）の利用に革新を起こす可能性を秘める。40年ごろに世界で最大100兆円超の経済価値を生むとの予測もあり、米中をはじめ世界が開発を競う。
グーグルは極低温に冷やし、電気抵抗をなくした超電導の回路で計算する方式の量子コンピューターを開発。米IBMなどと共に研究の最先端を走る。21年に米カリフォルニア州サンタバーバラに拠点を設けて開発体制を拡充しており、29年にも実用レベルの量子コンピューター実現を目指している。
からの記事と詳細 ( Google、量子コンピューター「最大の課題」エラー克服へ成果 - 日本経済新聞 )
https://ift.tt/GwRTx8S
No comments:
Post a Comment