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Saturday, August 6, 2022

余録:さまざまな菓子をそろえた駄菓子屋には… - 毎日新聞

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 さまざまな菓子をそろえた駄菓子屋には「一文菓子屋(いちもんがしや)」という別名がある。小遣いで買える安値で小腹を満たし楽しめる。いまも変わらぬ子どものオアシスだ▲その駄菓子屋に、物価高騰が容赦なく押し寄せている。人気商品である「うまい棒」が今春、一つ10円から12円になった。原材料費の高騰が理由で、1979年の発売以来初の値上げだった。それからも多くの菓子が1円刻みで値上げされている。駄菓子は単価が安いため、たとえ数円でも「大幅値上げ」になってしまう。東京都内の卸業者は「原料、運搬費、人件費、どれもがかさんでいる。来年までこの流れは続くだろう」とみる▲東京都葛飾区で45年間駄菓子屋を営む梅原ふみいさん(69)は「全体的に仕入れ値が上がり、こんなのは初めて。困りました」とため息をつく。店に居合わせた小学生たちに感想を聞くといっせいに「悲しい」との声が返ってきた▲かつてどこの街角でも普通に見られた駄菓子屋は、平成に入ったころを境に大きく減少した。コンビニエンスストアの進出や遊びが多様化したことに加え、消費税の影響を指摘する声もある▲梅原さんの店は子どもだけでなく近所のお年寄りらも毎日顔を出し、雑談に花を咲かせている。「大人も菓子を買ってくれるのでありがたい」と語る▲郷愁を誘うだけでなく、子どもの居場所や、住民が集う場としての役割が再評価されている昨今の駄菓子屋である。地域の支えは、時ならぬ荒波をしのぐ助けとなるに違いない。

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