「エンゲージメント」というビジネス用語を聞いたことがある人も多いだろう。このエンゲージメントには顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメントの二種類が存在するのをご存じだろうか? 本記事ではエンゲージメントの意味と、従業員エンゲージメントを高めるメリットや高める方法について解説する。
エンゲージメントとは?
企業活動におけるエンゲージメントにも 、相手との「深い関係」というニュアンスがある意味する。そして、このときの「相手」は、顧客である場合と従業員である場合がある。
「会社と従業員」の信頼を示す従業員エンゲージメントとは
そんな従業員エンゲージメントを高める要素には、主に以下の五つがある。
● 社内のコミュニケーションの取りやすさ
● 働きやすさ
● 評価の公正さ
● 仕事のやりがい
● 経営者の理念への共感
これらの要素が満たされると従業員は主体的に会社に貢献するようになり、会社は業績の向上や離職率低下などの恩恵を受けることができる。
「会社と顧客」の関係性で使われる顧客エンゲージメント
かつては高い機能的価値を有していた商品も、コモディティ化が進むにつれて他社との差別化が難しくなる。そのときに商品の機能的価値だけではなく顧客エンゲージメントも高ければ、価格競争に参加せずとも顧客離れを防げる。顧客エンゲージメントの向上は会社の競争力や成長性に大いに寄与することもあり、近年では重要視する会社が増えている。
従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い
● 賃金の額に満足しているか
● 福利厚生に満足しているか
● 職場の人間関係に満足しているか
一方で、従業員エンゲージメントは会社に対する従業員の「感情」を示す概念である。つまり、以下のような従業員の気持ちを示す。
● 会社を誇りに思っているか
● 自発的に会社に貢献しようと思っているか
● 会社を信頼しているか
従業員エンゲージメントが高い場合、先にも述べたとおり従業員と会社の感情的な結びつきが強くなり、ビジネス上の関係を超えた深い関係になる。一方で従業員満足度が高いだけでは、ただ待遇に満足しているだけであり、実際はビジネスライクな関係というケースもあり得る。
高い従業員エンゲージメントがもたらす五つのメリット
従業員エンゲージメントの向上には会社にとってさまざまなメリットがある。それは主に以下の五点となる 。
売り上げ、利益の向上
従業員エンゲージメントが向上すると、従業員は会社に対してどのように貢献できるかを主体的に考えて行動するようになる。また、ずっとその会社に居続けたいと思うようになるので、長期的に考えて利益を追求するようにもなる。したがって、各従業員のパフォーマンスが向上し、売り上げや利益の向上にもつながると考えられる。
離職率の低下
これは例えば「賃金の額が良いから」とか「やりがいのある仕事だから」といった単一の要因による状態ではなく、待遇や人間関係、やりがい、会社の業績、経営者のビジョンなど複合的な要因によって愛着を持っており、会社に対する信頼が高いのが特徴である。
したがって、このうちのどれか単一の要因が一時的になくなっても、会社に対する愛着を失わず、むしろそれを補うために主体的に動くようになる。
例えば従業員エンゲージメントが低い会社では、会社の業績が少し悪化しただけで従業員は転職を考える。逆に、従業員エンゲージメントが高い会社は会社の業績が一時的に悪化しても、従業員が業績を取り戻すためにより一生懸命に働きつづける。
顧客エンゲージメントも向上
また、従業員エンゲージメントが高い会社では、顧客エンゲージメントも高くなる傾向にある。なぜなら、従業員たちが率先して顧客のために動くからだ。それに対して、従業員エンゲージメントが低い会社では、従業員の顧客への態度は消極的になる傾向にある。従業員エンゲージメントを高めれば、それが顧客エンゲージメントに伝わり 、企業イメージやブランド価値の向上にもつながると考えられる。
従業員のモチベーションアップ
エンゲージメントが高まっている従業員は、会社のブランドイメージの向上や業績の向上をまるで自分自身の喜びのように感じているため、そのような会社からどのように期待されているのかを従業員自身が自発的に考え、積極的にその期待に応えようとする傾向にある。
優秀な人材の確保
近年では転職者向けの口コミサイトも多数存在し、そのようなサイトに従業員が書き込んでいるケースもある。また、個人のSNSにおいてプロフィールに会社名を書く人も増えている。エンゲージメントの高い従業員はそのような公の場において積極的に自社の評判を上げようとする。そのため、それを見た優秀な人材が集まって来やすいと考えられる。
従業員エンゲージメントを高める方法
では、従業員エンゲージメントを高めるにはどうすれば良いのだろうか。そのポイントは以下の五点である。特に、従業員エンゲージメントの調査は他のポイントを効果的に実施するために重要な工程なので気をつけたい。
業員エンゲージメントの調査方法
具体的な質問については 、「自分の実力や役職に合った業務ができているか」といった仕事に関する項目や「部下との適切なコミュニケーションはとれているか」のような上司に関する項目が挙げられる。他にも、会社風土や処遇、福利厚生、経営など業務や人間関係、職場環境などあらゆる観点から満足度を確認できる項目を立てて質問を設定するといい。また、質問に対する回答は「満足している」から「満足していない」まで五段階で選べる選択肢や、具体的な記述が可能な自由記入欄などがある。選択肢式の方が手軽なためアンケートへの回答率は比較的高くなるだろうが、詳細を知りたい項目については記述させるなど、目的に合わせて評価方法を決めてみてほしい。
ワークライフバランスの重視
また、デジタルトランスフォーメーション(DX)を前向きに推進しているかも重要である。上記の新しい働き方や多様な働き方にはDXの推進が不可欠だからだ。所属している会社が変化に前向きで先進的であることは従業員エンゲージメントを高めることに繋がる。
公正な評価制度
例えば同じ仕事をしているのに出社組だけが高く評価され、テレワーク組の評価が低い状況になると、テレワーク組は会社に不満を持ち、従業員エンゲージメントが低下する。評価である以上、過程や成果によって差がつくのは仕方ないが、できるだけ従業員が納得できるような評価制度を作る必要があるだろう。
社内コミュニケーションの活性化
対策としては社内コミュニケーションをやりやすくする必要がある。なるようなITツールを導入し、コミュニケーションの活性化を促す方法が挙げられる。特に働き方が多様化している現代では、コミュニケーションを活性化させるITツールの活用は不可欠だ。
ITツールを活用して従業員エンゲージメントを向上させよう
その第一歩としHRテックツールなどのITツールを活用し、従業員に対する正しい理解を進めよう。従業員エンゲージメントの向上は、従業員への理解から始まる。
「エンゲージメント」というビジネス用語を聞いたことがある人も多いだろう。このエンゲージメントには顧客エンゲージメントと従業員エンゲージメントの二種類が存在するのをご存じだろうか? 本記事ではエンゲージメントの意味と、従業員エンゲージメントを高めるメリットや高める方法について解説する。
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