衆院議員・内閣府副大臣・量子技術推進議員連盟事務局長 大野敬太郎(おおの・けいたろう)氏
1968年生まれ。富士通勤務、米カリフォルニア大学バークレー校客員フェロー、東京大学産学官連携研究員などを経て、2012年に香川3区から出馬して衆院議員に初当選。防衛大臣政務官、自由民主党副幹事長などを歴任し、21年10月に発足した岸田文雄内閣では内閣府副大臣(経済安全保障・防災等担当)を務めている。(写真=古立康三)
2019年に自由民主党内で発足した「量子技術推進議員連盟(量子議連)」の事務局長を務められています。日本の量子技術政策について、どのような課題意識から議連を立ち上げられたのでしょうか。
大野敬太郎衆院議員(以下、大野氏):(会長として量子議連を立ち上げた)林芳正外務大臣が文部科学大臣だった時代(17~18年)に量子技術の可能性を強く感じられたのがきっかけです。量子はかなりマニアックな世界で、何となくゲームチェンジの動きがあるのではないかという認識は国会議員の間にありましたが、具体的なものとしては認識されていなかったように思います。
そのような中、実際に政策を立案していく事務局長というポジションで、私にご指名をいただきました。
林先生とは自民党の「知的財産戦略調査会」を一緒にやっていました。科学技術、イノベーションというところから産業につながっていかない「死の谷」という日本の問題があります。産業政策の構造は「もうける仕組み」ではなくて「もうけ続ける仕組み」が必要だと議論してきました。そういった領域をやってきたから指名されたのだろうと思います。
実際、議連の活動を始めて、量子技術の問題点をどう分析されていますか。
大野氏:マーケットをつくる意識が産業界に感じられない。ここが問題だと思っています。死の谷の問題というのは政府のほうでは結構共有されていて、何とかしなければいけないと話しています。もちろん政策面での弱さはあったでしょうが、資本力を生かして実際のマーケットをつくることを、産業界側もやりきれていない感じがするのです。
議連の当初の活動は、当時30億円にも満たなかった(量子技術開発の)予算をとにかく取ってくることだったわけですが、途中から私は、林先生にこう申し上げたのです。「技術開発、シーズプッシュ(技術主導)をやっているだけでは難しい。やっぱりマーケットをつくらなければいけないんだ」と。
では、どうするかということで20年に始めたのが「Q-SUMMIT」。ベンダーとユーザーに直接対話をしてもらい、政治家も行政も参加する。そこで何が課題なのかというのを浮き彫りにし、政府がやるべきことを抽出しようというわけです。
これは結構いい議論になったんですよ。ベンダー側は「こういう思いでこんな技術をつくっています。どうですか?」とユーザー側に聞く。すると「ここ、使えるよね」とか「ここは使えないよね、やっぱり難しいよね」みたいな答えが返ってくる。金融業界や物流業界などと直接議論ができました。
それを受けて21年に「量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)」が産業界で立ち上がりました。今年、一般社団法人になったところです。まさにユーザーを含めてドライブをかけていこうということにつながっていると思います。
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