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Tuesday, March 8, 2022

量子コンピューターの開発はいつ始まった? - ITpro

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全999文字

 量子コンピューターのアイデアは、ノーベル物理学賞受賞者でもあるリチャード・ファインマン教授が登壇した、1981年の「物理学と計算」会議の基調講演に遡るといわれます1)。教授は量子の振る舞いをシミュレーションするには通常のコンピューターでは限界があり、量子力学の原理に従うコンピューターが必要だと主張しました。

 「自然は古典(力学)的じゃない。そのシミュレーションをしたいなら、量子力学に基づく方法を使った方がいい」というのがそのせりふですが、何を思ったのか、教授は1文目と2文目の間で「くそっ(dammit)」と口走ったようです2)

 量子コンピューターは、ファインマン教授のような英才の頭の中を中心に発展してきました。当初は願望に過ぎなかった存在が、1985年にデイヴィッド・ドイッチュが発表した基礎理論で実現への第一歩を踏み出します。1994年にはピーター・ショアが量子コンピューターを使って高速な素因数分解が可能なアルゴリズムを発表。暗号の解読に使えそうなことがわかり、量子コンピューターは一躍脚光を浴びます。さらに1995年になると、量子コンピューターの泣きどころとされた誤り訂正の理論も登場しました。これらすべてが、ハードウエアが一切ない状態で進んだのです。

量子コンピューターの歴史

量子コンピューターの歴史

(出所:各社の発表を基に筆者が作成)

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 初のハードウエアが登場したのは1999年のこと。現在東京大学に所属する中村泰信教授、同じく現在東京理科大学の蔡兆申教授らがNECに在籍していたときに開発した超電導方式の量子ビットです3)。その後の開発は必ずしもトントン拍子ではなく、2022年時点では、ようやく100量子ビットを超える実機が登場した程度です。1994年のショアのアルゴリズムを実行するには、2020年代末以降に登場する見込みの誤り訂正機能付きの量子コンピューターを待つ必要があります。その間、実に30年余り。子供が育って、自分の子供を持つほどの時間がかかったわけです。

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