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Saturday, February 6, 2021

【4476】遊天 津軽(ゆうてん)【青森県】 - 47NEWS

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2021.2.7 15:58
青森県弘前市 六花酒造

青森県弘前市 六花酒造

 青森県弘前市でさまざまな事業を精力的に展開している40年来の友人から、お酒が贈られてきた。普通酒の「遊天」だった。この酒を見て衝撃を受け、飲んで衝撃を受けた。見て驚いたのは、「遊天」がまだ存在していることにびっくり。飲んでは、その旨さにびっくりだった。

「遊天」といえば、弘前市民にとって、最も心に残る酒だった、とおもう。なぜなら ①蔵があった、今も残るレンガ倉庫が非常にインパクトがある ②「遊天」のラベルが世界的版画家・棟方志功の手による ③「遊天」のキャッチコピー「心天に遊ぶ」のCMがインパクトがあった-ことなどによる。

 弘前銘醸は1932年から「遊天」の製造を始めたが、1985年に清酒製造を廃止。その後、同じ弘前市の六花酒造に「遊天」を委託醸造してもらい、販売を続けている。わたくしは、委託醸造を知らなかったので、「遊天」がてっきり姿を消していたものとばっかりおもっていた。

 レンガ倉庫、遊天、棟方志功について、弘前銘醸のホームページをもとに簡単にまとめれば、以下のようになる。

 旧富名醸造株式会社(社長 福島藤助)が1918(大正7)年2月、8棟のレンガ造りの倉庫群を弘前市大字富田に建設。1932(昭和7)年、加藤幸助が弘前市新寺町で味噌屋を営みながら、酒造りを富名醸造から引き継ぎ、「弘前銘醸」を設立した。「遊天」はこの年から製造・販売した。
 倉庫建設当時は、コンクリートがまだ普及していない時代。レンガが一番堅固とされていた。しかしこの地では入手困難だったため近隣の山から材料を調達、レンガ工場を建設し、レンガそのものの製造から始めた。関東から職人を呼び寄せ、約7年の歳月を費やし建設した赤レンガ倉庫は「イギリス積み」と呼ばれる美しく重厚な佇まいを見せ「弘前市 趣のある建物」に指定されている。現在は4棟で、さまざまな用途の倉庫に使われている。
 1985(昭和60年)10月、清酒製造業を廃止。以後、「遊天」など自社銘柄酒を六花酒造に委託醸造。現在は、自社銘柄酒の総販売元、普通倉庫業、冷蔵倉庫業、製氷業、酒類販売業(全酒類小売・自己商標卸売)、不動産賃貸業などを行っている。
 一方、世界的に有名な版画家・棟方志功と弘前銘醸は交流があり、志功は「遊天」をこよなく愛した、という。その縁で志功は1968年、「遊天」などのラベル、題字、化粧箱、包装紙まで全てのパッケージデザインの制作に取り組み、2年がかりで完成させた。志功の木版画は、刷りの後に紙の裏から色を塗る「裏彩色」が有名だが、「遊天」などのデザインでは「裏彩色」と「表彩色」両方の技法を使用しているようで、その美術的・資料的価値が高い、といわれている。志功作によるラベルを貼った清酒「遊天」が初めて蔵出しされたのは1968(昭和43)年11月のことだった。

 さて、いただいた普通酒の「遊天」をいただいてみる。酒友Yと、なじみのH居酒屋で、だ。1人で飲むより3人で飲んだ方がバラエティに富んだ感想が得られる。まずは冷酒から。

 酒蛙「おっ、普通酒にありがちな昭和レトロクラシカル香味が全く無いぞ。普通酒にありがちなベタベタ感も全く無いぞ。軽くてきれいな酒質。ざっくり言うと淡麗辛口酒だ」
 H 「昭和レトロ香味が全くいない。軽快に感じる」
 酒蛙「辛みを感じる」
 H 「酸を感じる」
 Y 「旨い!」
 酒蛙「うん、酸を感じるね」
 H、Y「さっぱりした口当たり。飲みやすい。こ、こ、これは旨い」
 みんな「これはびっくりだ。失礼ながら、普通酒なので侮っていた。想定外の美味しさだ」
 酒蛙「甘み、旨み、酸、辛みがいずれもほどほどに出ている。バランスが良い」
 H 「だんだん酸が強くなっていく」
 Y 「苦みもけっこう出ている」
 酒蛙「それにしても、全くクセが無い。さっぱりした口当たりだ。普通酒なのにアルコール添加感も無い。こりゃ、スーパー普通酒だ。すごい」
 Y 「うん、クセが無いけど、それなりに旨みが出ている。酒の温度がすこし上がってきたら甘みも出てきた」

 普通酒なので、期待せず気軽に飲んだ3人だったが、想定外の仕上がりの良さと旨さに、完全にKOされてしまった。「遊天」さん、ごめんね。ひたすら謝る3人であった。冷酒の次はぬる燗だ。一般的に酒の実力が一番出る40℃(ぬる燗)でいただいてみる。ちろりでの温度調整の役目はわたくしである。

 酒蛙「おっ、辛い」
 Y、H「酸がすごく出てくる。冷酒のときよりやわらかな口当たりに感じる」
 酒蛙「とにかく辛い。たしかに辛い」
 H 「冷酒、ぬる燗、どっちもいい。悪いところが無い」
 Y 「冷酒と比べ、苦みがすくない。冷酒のときのソリッド感が無くなり丸みが出てきた。本当にいい酒だ」
 酒蛙「甘みも出てくる。温度がすこし下がると酸が強くなる」」
 H 「旨いとしか言いようがない。ツッコミどころが無い」
 酒蛙「これは、スーパー普通酒と呼んでもいい酒質と味わいだ」

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「一杯飲めば陶然と酔い、二杯飲めば羽化登仙の気、三杯飲めば心天に遊ぶ」「青森が生んだ世界的版画家 棟方志功画伯が手掛け、画伯自ら『世界に冠絶』と称した遊天ラベル。津軽の銘酒としてこよなくご愛飲いただいております」

 裏ラベルに書かれている味のチャートは、「濃淡、甘辛とも中間あたり」「甘辛度/やや辛口、濃淡度/淡麗」。瓶の肩ラベルのスペック表示は「「アルコール分15度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)醸造アルコール、製造年月2020.9、販売元 弘前銘醸」。

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