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Tuesday, August 1, 2023

【特集】新しい二つのコンピューター教室で情報リテラシーを磨く…成田 - 読売新聞オンライン

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 成田高等学校付属中学校(千葉県成田市)で今年度、二つのコンピューター教室がリニューアルされた。一つは一斉授業に適したスクール形式の机配置にデスクトップパソコン、もう一つはグループ学習に使いやすい自由なレイアウトにノートパソコンを採用している。同校は、これらの教室をフル活用し、2025年度大学入学共通テストで出題が予定される「情報1」への対応や、デジタルシティズンシップの養成にも力を入れていく方針だ。

 同校は2016年に「ICT教育推進委員会」を発足させ、中高の生徒全員にiPadを持たせて授業や学校生活で活用するなど、学校を挙げてICT教育を推し進めてきた。その中で今春、1号館の第1コンピューター教室と2号館の第2コンピューター教室がリニューアルされた。第1コンピューター教室は「Windows11」搭載のデスクトップ型パソコン46台を備え、机は一斉授業に適した前向き配置にした。一方、第2コンピューター教室にはノートパソコンの「MacBook Air」を同じく46台配備し、キャスター付きの机と椅子を採用して、用途によってレイアウトを変更できるようにした。

 教室をリニューアルするにあたり、設計デザインの段階から関わった同委員会委員で情報科主任の白井稔実教諭は、二つの教室のコンセプトをこう説明する。

 「一斉授業に適した第1教室は、情報科の基本となるタイピングや文書処理などの実務的な能力を高めるための指導や、プログラミングの授業を想定しています。机と椅子を自由に動かせる第2教室は、対話型・グループ型の授業が展開しやすいので、グループワークに適しています。クリエイティブソフトのサブスクリプションサービスである「Adobe Creative Cloud」も導入していますので、生徒たちがわくわくするような情報デザインの実習と指導ができればと考えています」

 高校の新課程で必修となった「情報1」の授業は、高2生を対象に週2時間、主に第2コンピューター教室を使って行われている。白井教諭は授業に、3人グループによる話し合い活動を頻繁に取り入れており、そのためにレイアウトを自在に変えられる第2コンピューター教室をしばしば活用している。3人組にすると全員が積極的に発言する効果が見られるのだそうだ。

 「第1教室と第2教室にはそれぞれ特徴があるので、学習する単元の内容によって使い分けられたらいいと思っています。進学したり就職したりすると、コンピューターやアプリの操作が必要な場面も出てくるでしょう。そうした時に幅広い機種やソフトに対応できるよう、情報科の授業を通じて 汎用(はんよう) 的な能力を身に付けさせたいですね」

 6月30日、第2コンピューター教室で行われた高2(付属中からの内進クラス)の「情報1」の授業を見てきた。生徒たちは、教室に入るとまず3人組を作り、まとまって着席した。キャスター付きの机と椅子は簡単に移動できるため、グループ学習がスムーズに行える。その後、一人一人が「MacBook Air」を受け取り、ホワイトボードアプリの「Jamboard」を画面に表示して話し合いを始めた。

 この日の課題は、「『MP3に変換した時のデータの圧縮率』や『JPEGに変換した時のデータの圧縮率』などを計算するとき、これまでに学習した数学や理科などのどんな公式や考え方が使えるか」。生徒たちは他教科で学んできた事項を思い出しながら、グループとしての考えを一つにまとめた。

 次いで「大型モニターを4分割して、四つのグループで意見を共有しましょう」と白井教諭が促した。生徒たちは、近くの4グループで机と椅子をスムーズに移動させ、あっという間に12人の円陣を作った。4台ある大型モニターがそれぞれ4分割され、各グループのホワイトボードが表示される。それらのホワイトボードを使いながら、各グループの代表者が自分たちの考えを他グループに説明していった。

 白井教諭によると、この話し合いの目的は、情報科で扱う課題の多くが他教科の学習と結び付いていることに気付き、学んだ事項を情報科に応用できるようになることだという。生徒から「理科で食塩水の濃度を求めた時の計算と似ています」「数学の単位量の計算が応用できます」「速さ×時間=距離の公式が使えそうです」などの声が上がるたび、白井教諭は、「情報科で扱う計算問題は、小中学校で勉強したことの発展です。よくそのことに気付きましたね」と評価していた。

 コンピューターやアプリの操作など、実務面を学ぶ一方で、生徒たちはメディアリテラシーについても学んでいる。高2の加藤 璃真(りま) さんは、「情報科は自分たちの世代にとって必要な教科」と話す。

 「通常の授業のほかにも、『Life is Tech!』というIT教育プログラムサービスを使って情報社会について学んでいます。情報に関する法律を学ぶことで、著作権などの権利があることを知り、使っていいものといけないものの識別ができるようになりました。みんながスマートフォンを持つ時代なので、きちんとした情報モラルを身に付けることが大切だと思います」

 同じく高2の西山 寧紅(しずく) さんは、学習アプリを使ったり、教員やクラスメートと連絡したりする際にiPadを活用しており、その利便性を実感しているという。「連絡が来た時にすぐに確認できるし、行事などの資料も共有しやすいです。文字で説明するだけでは分かりづらい時も、画像が付いていると理解度が違います。タブレットはその点がとても便利だと思います」

 2人は、情報が自分たちの生活と密接に関わっていることを自覚した上で、「情報をどう扱い、どのように発展させていくかが大切だということが分かりました。授業で学んだことをこれからの生活に生かしていきたいです」と口をそろえた。

 25年度入試から、大学入学共通テストの出題科目として「情報1」が新たに加わる。同校では来年度以降、高3生向けの土曜講座に情報科目を設けるなどして、入試対策にも取り組んでいくという。また、より高度なプログラミングを学びたいという生徒には、夏季課外講座などで発展的な学びができる機会を考えていきたいとしている。

 「共通テスト対策も必要ですし、コンピューターリテラシーやメディアリテラシーを高める教育も求められていますので、それぞれをバランスよく指導できればと思っています。現代の社会生活において、デジタルへの基本的な理解は欠かせないわけですから、インターネットを扱う上での市民感覚や人権感覚といったデジタルシティズンシップの養成にも力を入れていきます」と、白井教諭は今後の教育方針を語った。

 (文:岡崎智子 写真:中学受験サポート)

 成田高等学校付属中学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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