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Saturday, December 17, 2022

期待高まる量子コンピューターとは? どのような未来が実現するのか - Hitachi Social Innovation

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日立の技術力で、実用化をめざす

日立グループ内の知見を結集させて開発に挑む水野さん(写真:齋藤大輔)

――開発にあたって、日立グループならではの強みがあれば教えてください。

水野:物理学の基礎研究から、半導体プロセス、回路、実装、エレクトロニクス、ソフトウェア、アルゴリズムに至るまで、システム全体を考えられる点だと思います。物理学の基礎研究においては、日立ケンブリッジラボ(英ケンブリッジ大学との産学連携)で30年以上前から行ってきました。

また、私が以前に開発に携わっていたCMOSアニーリング(量子コンピューターを古典コンピューターで疑似的に再現する技術。「組み合わせ最適化問題」に適している)の経験も大きいです。

さらに、開発に必要な技術の専門家が、日立内部にいるというのは非常に大きな利点だと思います。外部の力を借りるとしても、内部に知見を持っている人がいないと、何が不足しているか、何を頼めばよいかが分からないためです。

――実用化のタイミングは、いつごろと予想されますか。

水野:多くの研究機関では、3個や5個のように、小規模な回路での実験を進めていますが、その進め方では次に「その数を増やす努力」をしなくてはならず、スケール(小規模なものから大規模なものに展開)しません。

そこで私たちの研究では、128個の量子ビットを並べて技術の開発を進めています。最初から128個をシステム的に動作させることで、社会課題を解決できる規模の量子コンピューターの早期実用化をめざしています。

――日立製作所の「2024中期経営計画」では、2030年度までに1メガビット級のシリコン量子コンピューターを開発することを目標に掲げています。

水野: 1メガ、すなわち、100万個。それくらいないと、古典コンピューターには勝てません。勝てないと社会価値がないわけです。そのために1メガビットという目標を設定しました。1メガビットを実現するにはどういうシステムにすればよいかを考えて、開発すべき技術を洗い出しています。

量子コンピューターは、我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指す「ムーンショット型研究開発事業」の対象となっています。日立はその事業の一員として、各大学の研究者と連携しながらシリコン型の量子コンピューターの実用化をめざしています。社会に大きなインパクトを与える量子コンピューターをなんとか実現させたいです。

量子コンピューターの実用化に向けた研究は続く(写真:齋藤大輔)

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