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Wednesday, July 27, 2022

Q2B Tokyoで見た、量子コンピューター開発エコシステムの現在 - ITpro

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 量子コンピューターは現在、様々な企業によって開発が進められている。ハードウエアのメーカーだけではない。内部のデバイスや周辺機器、ソフトウエアなどを開発する様々な企業からなるエコシステム(生態系)が既に形成されている。

 2022年7月13、14日に東京で開催された「Q2B22 Tokyo」には、エコシステムを形成する様々な企業が登壇し、自社の強みや今後のロードマップなどを説明した。その中には日本では活動内容がほぼ知られていないスタートアップもあった。本特集の第3回では、ハードウエア関連のメーカーを中心に見ていこう。

 ハードウエア関連のメーカーとしては、米IBMとカナダのDウエーブ Systems(Dウエーブシステムズ)という量子コンピューターそのものを提供している2社に加えて、量子プロセッサーのコントローラーを開発する米Quantum Machines(クアンタムマシンズ)や米Keysight Technologies(キーサイトテクノロジー)、アプリケーション特化型のハードウエアを開発する米Bleximo(ブレキシモ)などがQ2B22 Tokyoに登壇した。

2025年に4000量子ビットを目指すIBM

 米IBMからはパートナー&アライアンス担当のAparna Prabhakar(アパルナ・プラバカール)バイスプレジデントが登壇し、同社が2022年5月に発表した開発ロードマップに基づいて、注目すべきポイントなどを解説した。

IBMのAparna Prabhakar氏

IBMのAparna Prabhakar氏

(写真:日経クロステック)

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 IBMは2021年に127量子ビットを搭載する「Eagle」を発表した。2022年中には433量子ビットを搭載する「Osprey」を、そして2023年には1121量子ビットを搭載する「Condor」を発表する計画だ。

 プラバカール氏によれば量子コンピューターの性能は、量子ビットの数と品質(エラー率)、スピード(1秒当たりの量子回路操作回数)に依存するという。2023年に発表するCondorでは、量子ビットを増やすだけでなく、エラー率を下げることが重要だと指摘した。

 またCondorと同じ2023年には、全く新しいアーキテクチャーを採用した「Heron」を発表する計画だ。Heronの特徴は、複数のチップを連結して量子プロセッサーを構成するインターチップコネクションの仕組みを採用する点だ。

 IBMはこれ以降、量子プロセッサーを連結させることで量子ビットを増やしていく。量子プロセッサーを連結させる方法としては、従来型のコンピューター(古典コンピューター)を通じて連結する方法、異なるチップ上の量子ビット間を結合する方法、複数の量子プロセッサーを量子リンクと呼ぶ手段で連携する方法などがある。

 Heronで使用するのは古典コンピューターを使う連結方法だ。2024年に発表する予定の「Crossbill」では異なるチップ上の量子ビット間を結合する方法、同じ2024年に発表する予定の「Flamingo」では量子リンクで連携する方法を実装する。

 そして2025年には「3つの方法をすべて統合することで『Kookaburra』を実現する」(プラバカール氏)。Kookaburraは3つのチップを連結して構成した量子プロセッサー3個を量子リンクで連携させて、4158量子ビットを実現する計画だ。

 プラバカール氏は講演で、IBMが量子コンピューターと古典コンピューターとを組み合わせることで、古典コンピューターだけでは到達できない計算能力である「量子アドバンテージ」を目指していると強調した。特にスーパーコンピューターのユーザーに対しては「IBMは量子セントリックなスーパーコンピューターを開発する」(プラバカール氏)と述べ、現在のCPUとGPUに加えて、量子プロセッサー(QPU)を有力な選択肢として検討すべきだと主張した。

Dウエーブはゲート方式とアニーリング方式の両方を推進

 量子アニーリング方式の量子コンピューター(量子アニーリングマシン)を開発するDウエーブからはHossein Sadeghi Esfahani(ホセイン・サデギ・エスファハニ)氏が登壇して、同社のロードマップなどを説明した。

D-Wave SystemsのHossein Sadeghi Esfahani氏

D-Wave SystemsのHossein Sadeghi Esfahani氏

(写真:日経クロステック)

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 Dウエーブは2021年に、量子ゲート方式の量子コンピューターを開発する計画も明らかにしている。しかしエスファハニ氏は「量子アニーリングマシンも進化させる」と述べ、同社が量子アニーリング方式を諦めたわけではないと強調した。

 Dウエーブは現在、量子アニーリングマシンの次世代機である「Advantage2」の開発を進めている。2022年6月には500量子ビットを搭載したAdvantage2のプロトタイプが完成したと発表している。現行バージョンの「Advantage」が5000量子ビットを搭載するのに比べると量子ビットの数は減っているが、量子ビットの接続数は増えている。

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