米国のオークリッジ国立研究所(ORNL)が開発したスーパーコンピューター「フロンティア」。1秒間に100京回の演算ができる世界初のエクサスケールコンピューターとして、2022年春発表の世界のスパコン性能ランキング「TOP500」で日本の理化学研究所が運用する「富嶽」をぶっちぎり、世界トップの座に君臨しています。
スパコンは原子物理学から新薬研究に至るあらゆる分野の科学研究、感染症対策や気候変動などのシミュレーション、さらには人工知能モデルのトレーニングなど、最先端の技術開発に不可欠なものとなっています。より高速で複雑な演算が可能なスパコンを運用することが、世界の覇権を握る鍵にもなりえるわけで、米国、中国、EU、インド、日本など諸国がこぞって巨額の投資をしています。
存在を公表されていないスパコンたち
実はフロンティアよりも高性能なエクサスケールコンピューターが、すでに存在しているのではないか?という推察があります。というのも、「TOP500」に掲載されるスパコンは、運営側がベンチマークを実行して結果を提出したもののみで、すべてのスパコンが強制的に公表されているわけではないからです。
スパコンのオーナーにはベンチマーク値を公表しない、さらには存在すら公にしないことを望む例もあります。英国ブリストル大学のマイクロエレクトロニクスグループ長、Simon McIntosh-Smith氏は、情報機関や特定の企業にはマシンを秘密にする動機があるだけでなく、純粋に学術用のマシンも登録されていないと指摘しています。一方でTOP500リストに載ることを強く望むオーナーが、日常的なタスクを度外視して、ベンチマークで好成績をあげるのに特化したスパコンの設計をすることがあるそうです。「最近でもスコアを達成するために、より一般的な科学には向かないかもしれないと思われるシステムが確かに存在しますよ。何億ドルもする素晴らしいシステムにも関わらず」と、彼は指摘します。
1993年のTOP500リスト黎明期から参加しているJack Dongarra氏によると、スーパーコンピューター専門家の間では、中国は2021年以降「OceanLight」と「Tianhe-3」と呼ばれる少なくとも2基のエクサスケールコンピューターを稼働させており、さらに大きな「Sugon」と呼ばれる3番目のマシンを研究しているというのがコンセンサスになっているそうです。Simon McIntosh-Smith氏は、「明らかにリストに載せたくないグループがあるのは確かです」と言いつつ、政府の情報機関が高性能なスパコンを所有している可能性があることを示唆しています。
Source: New Scientist
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