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Thursday, May 5, 2022

ショッパブル動画 へ「小規模なマケプレ」たちが続々参入:インスピレーションが生み出す大きな商機 - DIGIDAY[日本版]

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こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

デジタルマーケットプレイス各社は、ビジネスの成長促進のため、ショッパブル(購入可能な)動画に賭けている。

ウォルマート(Walmart)Amazonなどのマルチカテゴリーマーケットプレイスの大手企業が過去3年間、さまざまな形式のショッパブル動画に投資してきた一方で、多くの小規模なマーケットプレイスはようやくこの分野に参入しはじめたところだ。

この6カ月間だけでも、ウィッシュ(Wish)、ゴールドベリー(Goldbelly)、インスタカート(Instacart)、ザ・リスト(The List)などの企業が軒並み自社のアプリやウェブサイトで、独自の形式によるショッパブル動画を開始した。これらの企業は、さまざまな理由から動画への投資を増やしている。ウィッシュなどの企業にとって、ショッパブル動画は、顧客に商品の見た目をより詳細に伝えることで、既存の出品者や売り手のあいだで、より多くの購入を促進するよう設計されたものだ。一方でインスタカートは、レシピのインスピレーションを得る場所としてますます人気が高まっているTikTokのようなアプリで、ショッパブル動画を使用して新しい顧客の獲得を試みている。

動画がインスピレーションを促進する

食料品マーケットプレイスのインスタカートは3月、「ショッパブルレシピ(買い物可能なレシピ)」機能の運用を開始した。この機能は、食品コンテンツのクリエイターがTikTok動画をインスタカートのショッピングリストにリンクできるものだ。インスタカートは2012年に創設されたが、2020年になって爆発的に成長した。一部の推測では、同社の2020年の収益は前年比で3倍になり、15億ドル(約1890億円)に達したとされている。

ショッパブルレシピは、同社がパンデミックのあいだに果たしていた目的、すなわち食料品を可能な限り速く消費者に届けることに留まらず、自社アプリをレシピのインスピレーションを得る場所として位置付ける計画を明確に示すものだ。

インスタカートアプリ(Instacart App)のプロダクト担当バイスプレジデントを務めるマイク・ビジョーリ氏は、「我々のチームは、インスタカートアプリのカスタマーエクスペリエンスを、毎週行う必要のある取引のような食料品の買い物から、よりパーソナライズされ、手頃で示唆に富んだ活動に進化させるため、熱意を持って取り組んできた」と、メールで述べた。「その一環として、人々がレシピのインスピレーションを行動に移せるよう支援することが必要だ。そこで出番となるのが、ショッパブルレシピだ」。

現在のところ、この機能はテイスティ(Tasty)での一部のレシピに限られ、また一部のクリエイター向けの実験的なものにすぎない。しかし同社は、そのターゲットを、より多くのユーザーと、クリエイターの個人レシピに拡大する計画を発表している。クリエイターがインスタカートへの外部リンクに対して、同社は動画のエンゲージメントと、同社プラットフォームを経由した発注の両方に基づいて、報酬を支払う。

今回の初期パイロット試験では、「顧客がもっとも強くインスピレーションを受けたときに、販売機会を創出すること」を目標に掲げていると、ビジョーリ氏は述べている。

エンターテイメント部門の構築

グルメ食品マーケットプレイスのゴールドベリーは、独自に社内でコンテンツチームを作り上げることで、ショッパブル動画により大きな投資を行っている。ゴールドベリーは2013年に創設されたeコマースサイトで、レストランおよび職人による食品販売業者が全国に商品を販売している。

昨年後半には、ゴールドベリーTV(Goldbelly TV)の立ち上げを発表した。これは買い物可能な食品コンテンツ用の制作プロダクションであり、動画プラットフォームだ。

この新しいスタジオを主導するため、同社はテレビプロデューサーで「ケーキボス(Cake Boss)」の共同制作者であるアート・エドワーズ氏を雇用した。同社には、シェフが撮影を行うための社内スタジオがあるが、シェフ自身のレストランにも定期的に足を運ぶ。

ゴールドベリーの共同創設者でCEOを務めるジョー・アリエル氏は次のように述べている。「当社は、ザッポス(Zappos)で見るような商品ページにある短い動画を作るわけではない。そのような浅いものではなく、人々がゴールドベリーテレビをバックグラウンドで付けっぱなしにすることを望んでいる。これは、eコマース用の初の全国的な動画プラットフォームだ」。

動画の長さは、通常3〜4分だ。レストランや、シェフ、調理、舞台裏のストーリーが紹介され、ゴールドベリーの商品ページにリンクしている。

アリエル氏は次のように述べている。「食品のメディアを見ているとき、その食品が欲しいと思っても入手する方法がない。そこで、食品と購入を結び付けることができると考えた」。

多くのライブストリーミングの小売業者やブランドと同様に、ゴールドベリーにはセレブリティが登場するコンテンツがある。ラッパーのミーガン・ジー・スタリオンは、プラットフォーム上で販売しているパイを宣伝するための動画に出演している。また現在は、セレブリティシェフのアイナ・ガーテン氏とともに撮影を行っている。しかし、同社はそれほど名が知られていないシェフやレストランも同様に特集している。



ミーガン・ジー・スタリオンもゴールドベリーTVに出演

「我々は、優れたストーリーと優れた技能を持っていれば、誰でもどこにいても参加できるようなシステムを作り上げたいと考えている」とアリエル氏は述べている。「それは、ミシュランの星を獲得した世界最高級のシェフかもしれないし、モンタナ州ボーズマンで結婚式用のケーキを作っていた女性が、ゴールドベリーだけで年間6ケタか7ケタを販売しているというものでも、どちらも同様に参加できるようにする」。

ゴールドベリーやインスタカートのような会社にとって、ショッパブル動画は、それぞれグルメ食品や食料品のカテゴリーでの専門的技術を披露する、もうひとつの方法だ。Amazonのようなマーケットプレイスは、もっと多くの小売業者から多くの商品を提供しているが、これらのプラットフォームはその代わりに専門性を重視している。

カーニー(Kearney)の消費者向け事業のパートナーであるキャサリン・ブラック氏は、メールで次のように述べている。「ショッパブル動画は、顧客に体験を提供し、ニッチな商品に関する教育を行うこともできる。これらは多くの場合、小規模なマーケットプレイスの呼び物となり、トラフィックと売上を促進するうえで、大きな差異を生み出す可能性がある」。

動画による発見

一方、マルチカテゴリーマーケットプレイスであるウィッシュにとって、ショッパブル動画は自社の構想である「買い物を楽しくする」を実現するためのもうひとつの方法となる。同社は招待制マーケットプレイスとして2010年に創設され、個人に合わせてパーソナライズされたフィードをそれぞれの買い物客に届けていた。同プラットフォームはほとんどの商品カテゴリーを扱っていたが、主にファッションと電子機器を販売しており、1ドル(約126円)の時計や、9ドル(約1130円)のナイフセットなど安価なアイテムで知られてきた。

2月には、「ウィッシュクリップ(Wish Clips)」というソフトウェアをローンチし、小売業者がショッパブル動画を自社の商品ページに追加できるようにした。たとえばアパレル小売業者の場合、モデルが動くことによって着用したシャツがどのように見えるかを示す動画を作成でき、消費者はそのシャツを動画から直接自分のカートに追加することができる。

ウィッシュの最高商品責任者を務めるタルン・ジャイン氏は、米モダンリテールに「コンテンツは常に商業的な体験を導き」、概して多くの人々はコンテンツの大半を動画に費やしていると述べた。

同氏は次のように述べている。「当社は、偶然による商品の発見、そして利用者にひらめきを生み出すことにコマースの将来があると確信している。このひらめきが興味を引き起こし、意思が生まれ、購入やトランザクションが発生する」。

ウィッシュは、ショッパブル動画への投資を積み上げていくとともに、買い物客に提供する動画の関連性を強化することを検討している。従来型の動画プラットフォームは、ユーザーが以前に高評価したクリエイターの動画を配信することができるが、ウィッシュには、無関係と思われるさまざまなカテゴリーの製品を販売しているセラーが多く存在する。

ジャイン氏は次のように述べている。「eコマースの世界では、その動画が何についてのものかを理解する必要がある。これは当社にとって大きな投資の分野だ」。

カーニーのブラック氏は、動画は、新しい形式のデータ収集をすることにより、これらの新興のマーケットプレイスを助けることもできると述べている。

「動画によって、ページのクリック数や滞在時間だけでなく、どの機能が顧客の興味を引き、関連性があるかを正確に把握することができ、調査やアクティベーションのための貴重な情報が得られ」とブラック氏は述べている。「ブランド化されたショッピング可能なメディアを共有できるマーケットプレイスを持つことは、近い将来、競争のための必須条件となり、現在の関連性を確実に高めるだろう」。

[原文:How marketplaces are using shoppable video to attract more buyers and sellers]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Goldbelly

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