理化学研究所(理研)などは2日、神戸・ポートアイランドのスーパーコンピューター「富岳」を使い、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染リスクについて研究結果を発表した。感染者がマスクなしで15分話すと、50センチの距離で対面した人はほぼ100%感染すると推計。マスク着用時も50センチ以内に近づくとリスクが生じ、人同士の距離をとる重要性を示した。
理研計算科学研究センターのチームリーダー、坪倉誠・神戸大教授らの研究。発声時の飛沫をシミュレーションすると、マスク着用の場合、着けないときと比べて飛散量を3分の1程度に抑え、飛散距離も抑えられることが判明した。
さらに、過去に海外で発生した五つのクラスター(感染者集団)のデータを基に感染確率を推定した。オミクロン株は、デルタ株の1・5倍の感染力として計算。感染者がマスクなしで15分話した場合、50センチの距離で対面すると、感染確率はほぼ100%に上った。1メートル離れると約60%、2メートルだと約25%まで下がった。
接触時間も長くなるほどリスクは高まった。感染者がマスクなし、距離1メートルで30分話すと、80%以上に。1時間でほぼ100%。全体的にデルタ株と比べて確率は10ポイント前後高かった。
一方、感染者が15分の会話時にマスクを着けていても、距離が25センチと近いと感染確率は約10%あり、1メートル以上離れることで0%になった。距離が50センチの場合、対面が1時間に延びても、10%程度まで上がった。
学校での感染拡大について坪倉教授は「リスクが高いのは、授業より休み時間の(近距離での)会話ではないか」と指摘。「マスク着用で安心するのは危険。距離や接触時間にも気を付けて」と呼び掛けた。
このほか、飲食店でパーティションや換気扇などを使って感染対策をすることで、リスクを3分の1程度まで下げることも示した。(井川朋宏)
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