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Saturday, October 31, 2020

「美しくなりたい」、量子コンピューターがはじき出す「あなたにぴったりの化粧品」 - 読売新聞

 美容業界で、量子コンピューターやロボットなど最先端技術を取り入れた化粧品開発が活発化している。目指すのは、肌質から遺伝情報まで、一人一人の違いに合わせて美を生み出す究極の「パーソナライズ」(個別化)だ。進化する「ビューティーテック」の最前線を追った。(石川千佳、笹本貴子)

 「あなたにぴったりのマスクを作れます」

 案内にひかれ、記者の石川は東京・銀座にあるコーセー(東京都中央区)の体験店舗に向かった。マスクといっても、美容液を染み込ませて顔に貼るパック用。肌の調子を整えるとして最近は男性にも人気だが、市販品だと目鼻の位置や幅が合わないことも多い。

 まずは顔の計測だ。タブレット型端末に向かい、指示通り顔を左右に動かすと、20秒ほどで、自在に回転できる立体的な顔画像が現れた。これは、米シリコンバレーの新興企業「Bellus3D」の独自技術で、2次元、3次元データをつなぎ合わせ、着色して画像にしているという。

 同社によると、最大50万か所を測定、しわや毛穴などもリアルに再現できる。データをもとに裁断して作られたマイマスクは、記者の広い額にもぴったりで、優しく包まれる感じがした。

 私だけの色や好みの質感の化粧品を作ってもらう。以前は夢物語だったこんな化粧品の実現も、膨大なデータを処理する技術の進歩が引き寄せる。

 量子コンピューター向けのソフトを開発する新興企業ブルーキャット(東京都文京区)は、昨年からコーセーと、商用化が始まった量子コンピューターを使い、新たな市場開拓に向けた研究を始めた。美容業界では初の試みだ。

 化粧品開発では、「さっぱり感」「しっとり感」といった、「官能評価」と呼ばれる研究員の主観的な評価が欠かせない。さらに、肌の色や生活習慣、宗教などによって選択する成分は変わり、組み合わせは無数にある。5年前に行ったインドの市場調査では、一般家庭に研究員が何日も泊まり込んで基礎情報を集めるところから取り組んだ。

 本来、化粧品の配合はそんな「経験と勘」の世界のはずだが、量子コンピューターは、膨大な組み合わせの中から、最適解を見つけるのが得意だ。まず、「原材料Aは、しっとり感プラス3、さっぱり感マイナス3」などと、研究員が経験上得た情報を、数式化して解析させた。最初は研究員たちも半信半疑だったというが、試しに、成分と官能評価の数値などをヒントに競合ブランドの人気クリームの配合を分析させてみたところ、見事に成功した。

 現在は、原材料の組み合わせを記した10万種類以上に及ぶ既存の処方をヒントに、新たな処方を生み出すことに挑戦中だ。一つの処方案を考えるのに、ベテラン研究員で10分かかるところわずか10秒。ある成分を10倍以上増減させるなど「人間では絶対考えつかない」配合もはじき出し、意外な発見も生まれたという。

 コーセー先端技術研究室研究員の黒谷達さん(38)は「最後に評価するのは人。量子コンピューターで処方が無限大になり、一人一人に合わせた新しい美の探求ができる」と期待する。

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