カラオケ大会で優勝してスカウトされ、18歳で単身ブラジルから来日した日系3世の黒木ナルトは、架空のデビュー話にだまされ絶望。たまたま出会った日本人家族に支えられ、テレビの歌番組出演をきっかけにメジャーデビューが決まったものの、発売日前日に新型コロナウイルスの感染拡大防止のため緊急事態宣言発令。21歳にして体験したジェットコースター人生にもめげず、すっかり流ちょうになった日本語で「たくさんの人に笑顔と元気を届けたい」と目を輝かせる。
黒木が約40時間かけて初めて日本にやってきたのは、2016年11月。日本とブラジルを行き来していた日本人男性から、「日本で歌手にならないか」と誘われ、親類一同の期待を背負ってやってきた。幼いころから祖母の手ほどきで日本の童謡や演歌を歌ってきたが、話せる日本語はほぼ歌詞だけ。意味も分からず歌ってきたので、あいさつすらおぼつかない。
そんな状態で、「なんかヘンだな」と思い始めたのが約1カ月後。ある日、アパートに帰ると、いっしょに住んでいた男性は夜逃げしていた。
「エッどうしよう。お父さん、お母さんに『助けて』というのは恥ずかしい。絶望しました」。横浜の公園で3日間野宿、ふと浮かんだのが、たまたま紹介されていたイベント関係の女性が近所に住んでいたことだった。記憶を頼りに1日待ち続け、知っている限りの日本語で窮状を打ち明けた。
「本当に日本で歌手になりたい強い気持ちがあるのか」「今後1年間、ポルトガル語を使わないこと」を確認した上で、居候させてもらうことに。日本語を一から学ぶことから始めた。
「いっしょに住んでいるのに、コミュニケーションをとれないのが辛かった」と黒木。コンビニでバイトしながら勉強を続け、約1年後、女性のつてで老人ホームで歌わせてもらうことに。三橋美智也の「達者でナ」を歌ったとき、一人の老人の目に涙が。「馬と別れる切なさとか、歌詞の意味を分かって歌って、反応があったのに感動して、グッときました。これだ、やっぱりボクはこの仕事をしなければ」。
その後、オーディションを経てテレビ東京系「THEカラオケ★バトル」(18年4月放送)に出演。突き抜けるようなさわやかな歌声と確かな歌唱力にレコード会社数社からデビューの誘いが。「また声をかけられたけど」と不安が頭をよぎったが結局、徳間ジャパンコミュニケーションズからのデビューが決まり、作曲家・宮下健治さんの元でレッスンに励んできた。
明るくダンサブルなデビュー曲「太陽のスマイル~ナルトの燦々サンバ~」、カップリング曲「演歌の星」が完成。4月8日の発売に向けてキャンペーンのスケジュールがびっしり詰まっていた。が、7日に緊急事態宣言。
「黒木ナルトって、こんなもんだよね」と自分で笑うしかなかった。それでも、「スマイルをなくさずに」と耐えてきた。コロナ感染死者が10万人を超え、世界で2番目に多い母国での感染状況にも「心が痛みます」。
先が見えない不安の中、持ち前のポジティブシンキングで、「早く落ち着きますように。そして一日も早く人前で歌いたい」。来日後、一度も帰国せず、「おじいちゃん、おばあちゃんのルーツで勝負したい」と夢を追い続け、悔しい時、悲しい時、そしてうれしい時、たくさんの涙を流してきた。尊敬する宮崎県出身の祖父母に、新人賞を届けるのが最初の目標だ。
◆黒木ナルト 本名・ニコラス・クロキ・ナルト。1998(平成10)年10月8日生まれ。ブラジル・サンパウロ州サンロッケ市出身。祖父・黒木慧さんは55年にブラジルに移民、苦労の末、菊の栽培農園で成功。故郷には祖父母、両親、姉が健在。趣味は、ラーメンの食べ歩き、温泉・銭湯、アニメ鑑賞。座右の銘は、番組ディレクターから教わった「常在戦場」。世界中の日系アーティストと故郷のコロナ対策チャリティープロジェクトに参加した。170センチ。
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August 17, 2020 at 10:54AM
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