北朝鮮の最高指導者、金正恩（キムジョンウン）国務委員長（朝鮮労働党委員長）の動向をめぐって、さまざまな情報が飛び交っている。
CNNは4月20日、金正恩氏が手術を受けて重篤な状態にあると報じた。その一方、韓国青瓦台（大統領府）の姜ミン碩（カンミンソク）報道官は21日、記者団に「現在までに北の内部に特異な動向は確認されていない」と述べた。
金正恩氏の身にいったい何が起きているのか。ファクトベースで最近の主な動向をみてみたい。
まず、北朝鮮の建国の父、故金日成（キムイルソン）氏の誕生記念日であり、北朝鮮が国を挙げて祝う4月15日の太陽節の祝賀行事に金正恩氏は姿を見せなかった。このため、健康悪化説など何らかの異変が報じられてきた。金正恩氏の心臓や脳、足首の手術などさまざまな臆測や情報が飛び交ってきた。
次に、北朝鮮は14日、短距離の巡航ミサイルを発射したとみられるが、国営メディアがこれについて一切報じていない。通常なら金正恩氏も現場に赴き、国営メディアもミサイル発射後に報じるところだ。
そして、日本海に面する東部江原道（カンウォンド）のリゾート施設群「元山葛麻（ウォンサンカルマ）海岸観光地区」の開発は、太陽節の4月15日までの完成を厳命され、この日前後に盛大な式典があるとの観測があったが、何もなかった。北朝鮮当局からの声明もコメントも出ていない。
また、金正恩氏が北朝鮮国営メディアに登場したのは、4月12日の労働新聞が最後。前日11日の朝鮮労働党政治局会議の出席した際の動静が写真付きで報じられていた。
さらに、北朝鮮の朝鮮中央通信も同じ12日、金正恩氏が西部地区航空・反航空（防空）師団管下の追撃襲撃機連隊（攻撃・爆撃任務連隊）を視察したと報じた。北朝鮮関連の専門ニュースサイト、NKニュースは、金正恩氏が実際には10日に現地を視察したと伝えている。
このような状況下、米軍偵察機はここ一週間ほど北朝鮮の動向を探るために相次いで朝鮮半島の上空に出撃している。21日午前もE8CやP3Cといった偵察機が朝鮮半島上空に出撃した。
金正恩氏はこれまでも長らく公式の場に出ず、突如として再び現れたことがある。例えば、金正恩氏は2014年9月から10月にかけ、40日間表舞台に姿を見せなかったことがある。その時は足首の嚢胞（のうほう）を除去する手術を受けたとみられ、杖を持って公式の場に再び現れた。
北朝鮮の動向をめぐっては、常に臆測や噂が飛び交う。予断を持たず、ファクトを集めて事態を注視したいところだ。
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April 21, 2020 at 01:08PM
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