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Wednesday, April 1, 2020

IBM 日本で量子コンピューターの研究開発を加速 企業連合立ち上げ商用化を目指す - ニコニコニュース

 IBMが、日本での量子コンピューターの研究開発を加速させている。2020年には、量子コンピューターの実機2台を日本国内に配備する予定で、幅広い業種の企業が参加できる枠組みを新たにスタートさせる計画だ。日本IBMの森本典繁執行役員(研究開発担当)は「量子コンピューターの研究開発は、周りの企業を巻き込んでいくタイミングになってきた」と話し、商用化を見据えて取り組みを進める考えを示した。(齋藤秀平)

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 IBMはこれまで、量子コンピューターの研究開発を自社内で進めていたが、ここ数年は外部の力を取り入れる戦略にシフトしている。16年にクラウドで利用できる量子コンピューター「IBM Q Experience」を公開したほか、グローバルで100を超える企業や大学、研究機関とパートナーシップを構築。国内では、18年に慶応義塾大学内に量子コンピューターの研究拠点を設置した。

 さらに19年には、東京大学と覚書を交わし、量子アプリケーションの開発や教育などを進めるほか、ハードウェア技術を開発する世界初の「量子システム技術センター」を東大内に設置する方針を打ち出した。今年国内に導入する量子コンピューターの実機は、東大にテスト機1台を配備してハードウェアの研究開発に活用し、IBMの拠点に「IBM Q System One」1台を置いて主に量子アプリケーションの開発に使うことを想定している。

 森本執行役員は「今までは、米国の量子コンピューターをクラウド越しに利用するモデルだったが、今後は日本で占有できる環境になる」とし、「最先端の量子コンピューターのハードウェアソフトウェアアプリケーション、そして実機に触れることができるのは、北米以外では世界中で日本だけだ」と説明する。

 IBMハードウェアの開発で日本に期待する背景には、多くの企業が集積する産業構造がある。森本執行役員は「素材段階から最終部品の組み立てまで、全体としてスキルを持った国は、日本をおいてほかにはない」と語り、「将来、量子コンピューターのサプライヤーに回ることを期待している企業にとっては、またとない機会になる」と話す。

 一方、幅広い企業の参加を募る枠組みについては「コンソーシアムに類する形を想定している。東大が中心になることは間違いないが、トップの人選を含めて具体的なことはまだ決まっていない」とした一方、「なるべくたくさんの企業に入ってもらい、量子コンピューターの研究開発の裾野を広げていく」と力を込めた。

 また、既存の開発パートナーとの関係も重要視している。アプリケーションの開発には「各業界や業務に精通した人で、かつ量子コンピューターについての知見を持っている人が必要になってくる」として、既存パートナーにもその役割を担ってもらう考え。「今までコンピューターを使っていた部分に量子コンピューターを適用するだけでなく、今までコンピューターを使っていなかった部分に量子コンピューターを適用することも目指したい」と語った。

 IBMにとって、量子コンピューターの研究開発は「技術的に成熟し、少し先を見通せている段階」(森本執行役員)という。日本の企業や大学との協力を強化していくことで、研究開発を新たなステージに引き上げたい考えだ。

森本典繁 執行役員

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