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Friday, March 27, 2020

新型コロナとの戦いでオープンソースを活用するさまざまな取り組み - ZDNet Japan

 Linux界やオープンソース界はよく、自分たちは世界を変えたと主張する。確かに世界は変わった。しかし今やオープンソース界と世界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という新たな課題に直面している。

 この記事では、新型コロナウイルスとの戦いに取り組んでいるオープンソースプロジェクトをいくつか紹介する。

 今社会が直面している最大の問題の1つは、各病院が近日中に発生する膨大な数の患者にどのように備え、対応するかだ。ペンシルバニア大学系列の医療ネットワークを運営する機関Penn Medicine予測医療チームが進めているこのプロジェクトは、閉じた集団における伝染病の理論上の感染者数を計算する疫学モデルであるSIRモデルを利用したツールであり、病院のキャパシティプランニングに役立てるために作られたものだ。

 この新たにオープンソース化されたCHIMEプロジェクトは、病院が保有する設備と地域人口に関する情報、COVID-19の感染状況や振る舞いに関する想定条件を入力して使用する。入力する想定条件はさまざまに変更することができる。情報が入力されると、標準的なSIRモデルが実行され、1日に発生する入院受入数と、入院患者数の推移が計算される。また、キャパシティプランニングに役立てるために、最善のシナリオと最悪のシナリオを作成することもできる。

 このモデルでもっとも重要な要素は、感染が広がる速度を表す「倍加時間」だ。ほかの地域における経験から、倍加時間には3~13日のばらつきがあると見られている。オンライン版のCHIMEで倍加時間を変更してみれば、倍加時間が感染にどんな影響を与えるかを知ることができる。 また、患者が爆発的に増加するようなケースについても計画を立てることができる。

 Pfizerは、世界的に有名な大手製薬会社の1つだ。製薬会社は歴史的に、オープンソースに対して、Microsoftの最高経営責任者(CEO)を務めていた時代のSteve Ballmer氏のような態度を取ってきた。しかし、PfizerのCEOであるAlbert Bourla氏は、すべての製薬会社に対して、今回のパンデミックと戦うために力を合わせて取り組むことを呼びかけている。

 Bourla氏は次のように述べている。

 「このウイルスについては分かっていることが少なく、細胞アッセイやウイルススクリーニング、血清学的アッセイ、可能性のある治療法やワクチンをテストするためのトランスレーショナルモデルなどの開発に多くの人が取り組んでいる。Pfizerは、わが社が開発した重要なツールをオープンソースプラットフォームで広く研究コミュニティに提供し、得られたデータや知識をほかの企業とリアルタイムで共有することで、治療法やワクチンを早く患者に届けることに全力を挙げる」

 今のところ、この提案のさらなる詳細は不明だ。しかし、Pfizerが同社のコードを公開しようとしているという事実だけでも大きな出来事だと言える。

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