第1章で紹介したように、依存は物質依存、プロセス依存関係依存に分けられます。物質依存は、体内に取り入れた何らかの成分によって得られる快楽や刺激のために起こります。代表格はお酒や薬物、たばこなどへの依存。繰り返すほどに、飲む量や使用回数が増える傾向があります。近年では処方薬や市販薬への依存も問題となっています。簡単に手に入りやすいことから習慣化しやすく、依存状態になってしまう人が増えているのです。
プロセス依存は、ギャンブルや窃盗などで忘れられないスリルや興奮、達成感を味わったことがきっかけになります。繰り返すうちに脳の報酬系が活性化し、行為がもたらす強い快感は、まるでアルコールや薬物を摂取したかのような錯覚を起こします。経済的破綻や捕まるなどのリスクがあっても、歯止めがきかなくなってしまいます。DVやストーカーをはじめとする関係依存は、相手や自分を傷つけてしまうようないびつな人間関係から離れられなくなっている状態です。その根底には、自分を否定する心理や自尊感情の低さといった心理的苦痛があります。第3章では、それぞれの依存対象にどのような特徴や健康被害、リスクがあるのか。さらに、他の依存症や精神疾患との関連、治療法や依存症体験者の生の声も紹介します。
依存症には様々な種類がある!
依存を起こしやすい物質やプロセス、関係には、主に次のようなものがあります(医学的には依存症でないものも含まれています)。
●アルコール依存・・・飲酒の量や頻度が増えて仕事や生活面に支障をきたす。失職や経済破綻してもやめられない。P.54へ
●薬物依存症・・・覚醒剤やコカインといった違法薬物だけでなく、処方薬や市販薬の乱用でも依存症に陥る。P.58へ
●カフェイン依存・・・エナジードリンクなどカフェイン飲料の多量摂取や、カフェインを含む市販薬との併用は要注意。P.64へ
●ニコチン依存・・・紙巻たばこはもちろん加熱式でも依存を招く。本人・周囲のがんをはじめとする多くの健康被害も深刻。P.66へ
●ギャンブル依存症・・・パチンコ、スロット、競馬が多い。スマホでできるネットギャンブルで若者が短期間でハマることもある。P.68へ
●買い物依存症・・・衝動的な欲求が抑えられず借金をしてでも買い物を繰り返す。発達障害などが潜んでいる場合も。P.72へ
●クレプトマニア(窃盗症)・・・経済力とは関係ない、捕まるリスクがあってもスリルや高揚感を求めて、万引きが止まらない。P.74へ
●摂食障害・・・ダイエットから神経性やせ症になり、その反動で神経性過食症や過食性障害に陥るケースが多い。P.76へ
●DV(ドメスティックバイオレンス)・・・相手を支配したい、自分の思う形にしたいという気持ちから恋人や配偶者などに害を加える。P.80へ
●ストーカー・・・一方的な愛情や憎しみを抱いて相手に執着し、付きまとう。別れ話から発展することが多い。P.82へ
出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之
【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著
特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。
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