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Monday, July 24, 2023

ここ10年で大きく進歩、今さら聞けない「量子コンピューター」とは - ITpro

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 「0であり、かつ1でもある」という量子特有の状態を持つ量子ビットを使い、並列計算を高速処理できるコンピューター。特定用途で従来型コンピューターの処理能力を大幅に超えられるとして開発が進んでいる。

 理化学研究所と産業技術総合研究所、情報通信研究機構、大阪大学、富士通、日本電信電話らの共同研究グループは、2023年3月、国産初の超電導量子コンピューターをクラウド公開し、外部利用を開始すると発表した。公開した量子コンピューターは、量子ビットを64個並べた64量子ビットの集積回路を搭載する。

理化学研究所らが開発した量子コンピューターの電子回路(出所:理化学研究所の広報動画)

理化学研究所らが開発した量子コンピューターの電子回路(出所:理化学研究所の広報動画)

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 通常のコンピューターは、1ビットに0か1という2通りの値を割り振って計算する。これに対して量子コンピューターでは、1量子ビットに「0であり、かつ1でもある」という量子特有の状態を持たせて、並列計算を高速に処理できる。ただし、現状では量子コンピューターで高速に処理できる問題は、量子化学計算や機械学習、量子シミュレーションなどに限られており、一般的な四則演算などの作業は高速化できない。それでも創薬や材料開発、人工知能、金融などの分野で生かせると考えられており、研究が進められている。

 量子コンピューターの開発は、ここ10年で大きく進歩した。2011年、カナダのD-Wave Systemsが世界初の量子コンピューターを販売した。2016年に米IBMが5量子ビットの量子コンピューターをクラウドサービスとして公開。2019年には米グーグルが、従来のコンピューターでは非常に長い時間がかかる計算を、量子コンピューターが圧倒的な速さで完了する「量子超越性」を達成した。

 現在開発が進む超電導方式の量子コンピューターは、絶対温度零度(-273℃)付近まで冷やすための「希釈冷凍機」が必要で、冷やせるチップの大きさには限度がある。そのため同方式による集積度の向上は近い将来頭打ちになると考えられており、光方式やイオン方式、中性原子方式、シリコン方式、ダイヤモンド方式、トポロジカル方式など、超電導方式とは異なる方式の量子コンピューターの研究開発も進められている。

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