5月12日から仙台市で開かれたG7=主要7か国の科学技術相会合。
開催地となった仙台市は今回の会合で東日本大震災からの復興を伝えるとともに仙台や東北の魅力を知ってもらおうとさまざまな「おもてなし」を行いました。
【会合では共同声明を採択】
会合に参加したのは、日本、イタリア、カナダ、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツの主要7か国の閣僚らと、EUの代表です。
議論は2日間にわたって行われ、成果をまとめた共同声明を採択しました。
各国の研究データや学術論文を社会全体で共有する「オープン・サイエンス」の推進などが盛り込まれました。
高市科学技術担当大臣は「大変有意義であったと思っています。G7各国と協力して価値観を共有する国々との間で研究成果の共有・公開を進め、安心して研究協力ができるような環境づくりをしっかりと進めていく」と話していました。
【復興や科学技術を発信】
今回の科学技術相会合で地元・仙台市が目指したのは「世界への発信」。
その1つが東日本大震災からの復興です。
閣僚たちは震災遺構として公開されている「荒浜小学校」を訪れ、郡市長は震災の前後で地域がどう変わったかを説明しました。
また、先端技術の発信も行われました。
東北大学のキャンパスに整備された最先端の研究施設「NanoTerasu」では視察した閣僚らに期待される成果などを説明しました。
【おもてなしに込めた思い】
「発信」とともに力を入れたのは「おもてなし」です。
《「秋保の田植踊」7年前に続き披露》
科学技術相会合では、初日の夜に「アキウナイト」と名付けられた市の歓迎イベントが開かれました。
ここで披露されたのはユネスコ無形文化遺産の「秋保の田植踊」。
秋保地区に伝わる伝統行事で、地元の子どもなど10人あまりが参加しました。
本来は40分以上かかる演目ですが、この日に使える時間はわずか10分。
会合が開かれた週は、みんなで連日、集まってこの日のために用意した演目を練習しました。
ひとつひとつのしぐさで、指先がそろっているかや、動きのタイミングが合っているかなどをみんなで確認しました。
なかには、7年前に同じ会場で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議で踊りを披露した人もいます。
前回は中学生で、とても緊張したという澤口輝来さんは今回、余裕を持って、見に来た人たちも意識しながら踊れるよう心がけました。
そして迎えた本番。
振り袖に花がさをかぶった「早乙女」を務めた澤口さんは、各国の閣僚たちの視線も意識しながら踊りを披露できました。
G7の閣僚らを前に再び踊りを披露できた澤口さんは「秋保にいる子どもたちの魅力がたくさんの方々に伝わったと思います。小学生のころから、ずっとやってきた踊りで大切なものですし、この経験を忘れずにたくさんの方々に伝えていきたいです」と話していました。
《東北のお菓子をふるまう》
科学技術相会合では東北6県のさまざまなお菓子もふるまわれました。
仙台市が、東北6県の市長会に呼びかけて集めたもので報道陣が利用する「メディアセンター」には、仙台のずんだ餅をはじめ、青森のりんごをフリーズドライにしたお菓子、福島の果樹園が作ったフルーツ味のポップコーン、それに山形のラ・フランスのジュースなどあわせて20種類が期間中、午前と午後で内容を入れ替えながら提供されました。
中には、東北大学のキャンパス内に整備が進められている最先端の研究施設「NanoTerasu」をモチーフに今回、特別に作られたバウムクーヘンもあります。
仙台市の担当者は「今回は、仙台でG7の会合が開かれているが、『オール東北』という気持ちで各県の名産をPRしようとコーナーを設けました。東北のそれぞれの地域を知るきっかけになればと思います」と話していました。
《伝統工芸品やまつり衣装の展示も》
会合が開かれた会場のホテルの1階のロビーには、地元のこけしや、福島の赤べこといった、東北各地の伝統的な工芸品や代表的なまつりの衣装を展示するコーナーも設けられました。
これは、開催地の仙台市だけでなく、東北全体を発信しようと企画されました。
また、訪れた人が日本の伝統に触れることができる場として、会場には書道や仙台七夕の小さな飾りづくりの体験コーナーも設けられ、実際に作業に参加する人もいました。
《イギリス代表が書を体験》
科学技術相会合にイギリスの代表として参加したフリーマン閣外相は14日、仙台市の秋保地区を離れる前に書を体験しました。
フリーマン閣外相は、夫人への贈り物として「愛」という字を色紙に書くことにし、書家のアドバイスを受けながらお手本を横に置いてしたためていました。
「愛」を選んだ理由について「お手本のなかで一番難しそうであり、また、一番大事なことばなので選びました。妻は日本にとても来たがっていたのに、来られなかったので、この書を贈ります」と話していました。
スタッフが「出発の時間です」と声をかけるなか、フリーマン氏は「2分あれば書ける」と再び筆を手にし、娘と、オックスフォード大学に通う息子にそれぞれ「夢」という字をしたためていました。
そしてアドバイスへのお礼としてみずからの名前が記され、「G7仙台」というはんこが押された便せんに「Thank you Sendai」とスマイルマークと一緒に筆で記していました。
書をアドバイスした千葉蒼玄さんは「緊張しましたが笑顔で書を楽しんでいただいてよかったです。書は、人に何かを伝えるものですがお礼のメッセージは温かさを感じられる書でした」と話していました。
【会合の成果どう生かせるか】
震災からの復興や、宮城のおもてなしを発信した今回のG7科学技術相会合。
仙台市としては、今回の会合で得た成果を復興の情報発信や海外からの観光客誘致などにどう生かせるかが注目されます。
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