機嫌や気分の浮き沈みはホルモンが関係している
「女性が知っておきたい女性のからだ」について婦人科医が解説します(写真:fishcake/PIXTA)
もしあなたの親友が婦人科医で、何でも聞けるとしたら? ほんの少し、勇気を出すだけでいいのです。私はこれまで、さまざまな機会にありとあらゆる質問を受けてきました。
実際、多くの女性がたくさんの疑問を胸にかかえています。女性の体とその特性にまつわる「婦人科」の分野には、数えきれないほどの誤解が蔓延していて、不安をいだいている人も少なくありません。
拙著『もし親友が婦人科医で、何でも聞けるとしたら?』でも詳しく解説している「女性ホルモン」にまつわるお話の一部を今回はご紹介しましょう。
「生理前」にイライラするのには、わけがある
生理前、自分で自分がわからなくなるような経験が、あなたにもあるでしょうか?
イライラが際限なく続いて、ちょっとしたことですぐに爆発してしまう、パートナーや母親、子ども、職場の同僚に怒りをぶつけてしまう。そんな自分が嫌でしかたない。生理が始まる直前ですから、そういったネガティブな感情自体が体にとっては負担になり、ストレスにつながるという側面もあります。
しかし、そのように情緒が不安定になるのにははっきりとした理由があり、その仕組みは単純です。“クールダウン・ホルモン”の「プロゲステロン」値が低下するために気分が落ちこむ一方で、月経周期の終わりに向かって「エストロゲン」が量こそ少ないものの支配的になっていくので、私たち女性は物事をドラマのように大げさに感じる傾向にあるのです。
一部の女性の脳はホルモンの変動に敏感に反応しやすく、また同じ人でもそのときどきで反応の度合いは変化します。
全女性の30~40%が月経前症候群(PMS)に悩まされており、そのうちの3~8%はより重度の月経前不快気分障害(PMDD)であると推定されています。PMDDは、日常生活や社会生活に支障をきたす明白な症状があり、抗うつ剤を用いた治療の対象となります。
PMS、より重度のPMDDとも、生理が始まると症状は消えていきます。そして我に返り、満月の晩のオオカミ女のようにふと思うのです。私はいったい何をしてしまったのかしら? と。これは問題です!
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