京セラは11月8日、リアルで多彩な触感を再現する触覚伝達技術「HAPTIVITY(ハプティビティ」と、射出成形3D構造技術「IMSE」を融合した新技術を開発したと発表した。この技術により、自動車や産業機器の部品点数を大幅に削減することができるという。
ハプティビティとは、圧電素子を活用することで、パネルやディスプレイを指でタッチした電圧で微細な振動を発生させ、リアルな触感を実現する技術のことだ。圧力検知や機械式ボタンの押下感触の再現、振動起動のそれぞれを圧電素子、振動増幅機構、制御回路、そしてソフトウェアの組み合わせによって最適制御する触覚伝達技術で、京セラの特許技術である。
一方、IMSEとは、インジェクション・モールデット・ストラクチュアル・エレクトロニックスの頭文字を取ったもので、フィンランドのスタートアップ企業であるタクトテック社が開発した。電子部品を搭載した印刷回路基板を、3D射出成形プラスチック内に封入してカプセル化する技術だ。タクトテック社からライセンスを受けた京セラが基本的に設計から試作、量産までを行うそうだ。
今回発表した新技術はその2つが組み合わさったもので、「HAPTIVITY i(ハプティビティ・アイ)」と名づけられ、「触覚伝達機能を有するさまざまなモジュールを一層の希薄化、軽量化、部品点数の削減、自由設計によるシームレスデザインを実現する複合技術だ」(京セラディスプレイ事業本部)という。
例えば、自動車のオーバーヘッドコンソールでは、通常20以上の部品を組み合わせてつくるが、この技術を使えばたった1つの部品で実現できる。しかも、薄くて軽いのが特徴だ。
「製品の厚みを最大95%、重量を80%も削減することができる。しかも1部品で構成されているため、時間が経過してもきしんだり、変な音を発生することはない。温度もマイナス40度から85度まで対応しており、湿度に対しても耐久性がある」(同)
また、自動車のハンドル部分に取り付けられるステアリングスイッチでは、従来の製品に比べて厚さを2割以上、部品点数を9割削減できた。そのうえ、さまざまな部品を一体化することで設計の自由度も高まるそうだ。
京セラでは、来年春をメドに試作ラインを滋賀野洲工場に設置し、同年夏にサンプル出荷して2023年から量産化を行う予定だ。「車載関係は実際に搭載されるまで時間がかかるので、まずは産業機器の分野で製品化を狙っていく」(同)そうだが、すでにさまざまな業界、企業から引き合いがきているそうだ。
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