『OKコンピューター』を発表するまで、レディオヘッドは多くの人々から「Creep」の影に隠れたバンドだった。1993年のグランジもどきのヒットで、アリシア・シルヴァーストーンは映画『クルーレス』のなかでこの曲を「大学のラジオでかかってるしめっぽい音楽」とあっさり一蹴していた。しかし『OKコンピューター』以降、レディオヘッドはロックを21世紀へと導く音楽の救世主としてもてはやされるようになる。
1996年の夏にこのアルバムにとりかかりだしたときは、まだ計画はそれほど壮大なものでなかった。しかし、これまでに聴いたことがあるようなものとは違う音楽をつくりたいということだけはわかっていた。当時は彼らの地元イングランドにおけるブリットポップ・ムーヴメントの絶頂期だったが、オアシスやブラーといったバンドに親しみはまったく覚えていなかった。「僕らにとって、ブリットポップは単なる60年代リバイバルだった」とギタリストのジョニー・グリーンウッドは1997年に語っている。「パスティーシュに行き着くだけ。君らは違う時代だったらいいのに、って望んでいるんだ。けれどその道を行ってしまえばあっという間に、ディキシーランド・ジャズのバンドみたいになってしまう」
かわりに、彼らは数々の傑作をむさぼるように聴いた。マイルス・デイヴィスの『ビッチェズ・ブリュー』、ジョニー・キャッシュの『アット・フォーサム・プリズン』、マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイン・オン』、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』など。そして、壮大で心動かす楽曲、ロックの歴史上どのような時代にも根付かないような楽曲を書きはじめた。「制約は一切なかった」と『OKコンピューター』のプロデューサーであるナイジェル・ゴッドリッチは語った。「ネアンデルタール人のロックンロールじゃない。とても高度な思考を要する、コンセプチュアルで、音響面で前進的で、かつ美しい楽曲たち。完璧だ。たくさんの人々が関わり、たくさんのアイデアが寄せられたけれど、私たちはみんな同じ方向に引き寄せることができた」
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September 27, 2020 at 08:10AM
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