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Tuesday, August 25, 2020

色あせない青春。さまざまな友情を描いた“シスターフッド映画”6作品。 - VOGUE JAPAN

『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(19)

(c)2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

高校時代の4年間学業に打ち込んで、一流大学入学を決めたモリーとエイミー。夢は史上最年少で最高裁判事就任というモリー(ビーニー・フェルドスタイン)はイェール大学に、同性愛者であることをカミングアウトしているエイミー(ケイトリン・デヴァー)はコロンビア大学に入学を控え、その前に女性支援のボランティアでボツワナに行くことが決まっている。

学校でふざけてばかりのクラスメイトたちをバカにしてきたが、卒業式直前に実は彼らも名門大学や一流企業に進むことが判明。高校生活を満喫しながら進路もしっかり決めた彼らに大ショックを受けた2人は、高校最後の夜にハジけようと、クラスの人気者ニックが開くパーティーに乗り込むことを企てる。モリーとエイミーは、本で得た知識だけの頭でっかちという、絵に描いたようなブックスマート。どこかもわからないパーティー会場にたどり着くための暴走は爆笑ものだ。

それぞれ淡い恋心を抱くが、気の利いた振舞いができない不器用さは共感を誘う。第一印象だけでは測れない同級生たちのキャラクターも、互いを補い合う女子2人のバディ・ムービー的な友情も、青春映画のステレオタイプ(冴えない女の子がイケメン男子と恋に落ちる、あるいは女の子同士で足を引っ張り合うetc.)と一線を画す展開なのがポイント。

オリヴィア・ワイルド監督が描くのは、多様性や包摂性はもう当たり前にある世界。きれいごとばかりじゃない、4年分の空白を補って余りある濃い一夜のバカ騒ぎで成長する2人をカラッと明るく描く、今の時代を感じさせる青春映画だ。

『ウォールフラワー』(12)

Photo: John Bramley/Summit Entertainment/Everett Collection/amanaimages

1990年代始めを舞台に、心にトラウマを抱えたチャーリー(ローガン・レーマン)が高校生活をスタートさせるところから始まる『ウォールフラワー』。作家志望で洞察力も鋭いが、引っ込み思案な彼を温かく迎え入れたのは、最上級生のパトリック(エズラ・ミラー)とサム(エマ・ワトソン)という義兄妹(両親同士が再婚)コンビだった。音楽や映画、アート好きな彼らのグループに仲間入りし、自分の居場所を見つけたチャーリー。聡明で輝くような美しさのサムに憧れながら、気持ちを打ち明けることができないまま、別の相手と付き合ってしまったり、試行錯誤を繰り返す少年が友情を知ることで、広い世界への一歩を踏み出す。

その行程は平坦ではなく、相手の気持ちを考えすぎて他者との距離をうまく取れない繊細さが逆に亀裂を生むことも。ローガンの緻密な演技から、自らの行動が招く結果に追いつめられていくチャーリーの苦悩が痛いほど伝わってくる。原作小説の著者で監督・脚本も務めたスティーヴン・チョボスキーは、主役3人やチャーリーの初めての彼女を演じたメイ・ホイットマンといった子役から活躍し続けて、プロムや卒業式を経験できなかったキャストたちが、フィクションとはいえ高校生活を体験するのを感慨深く見ていたという。

Photo: John Bramley/Summit Entertainment/Everett Collection/amanaimages

エズラとエマが演じる兄妹は最高にクールなのに、付き合うのが「この人じゃない」感あふれる相手ばかりだったり、怖いものなしに見えても心は傷ついていたり自信喪失で怯えていたり、という10代のデリケートな内面がリアルだ。相手が本当につらい時、そばで支えてあげる。口にするほど簡単ではないことを実行する彼らの友情は本物だ。やがて、チャーリーは誰にも言えず心の奥底に封印していたトラウマを解き放つ。過去や未来に囚われず、大好きな2人とともに、今この瞬間を「無限だ」と感じるその姿が愛おしい。

『旅するジーンズと16歳の夏』(05)

Photo: Warner Brothers/Everett Collection/amanaimages

メリーランド州の町に暮らす幼なじみの16歳の少女4人が、初めて別々に過ごすことになった夏休みの物語。リーナは祖父母が暮らすギリシャへ、ブリジットはサッカー合宿でメキシコへ、カルメンは母と離婚した父が暮らすサウスカロライナへ、そしてティビーは地元でバイトをしながらドキュメンタリー製作をして過ごすことになった。

旅立つ前、ショッピングに出かけた彼女たちは古着屋で1本のジーンズを試着する。身長も体形も違うのに、誰が履いても完ぺきにフィットする不思議なジーンズを友情の証として、4人は1週間ごとにリレーのように着回すことを決める。次の相手に送る際、その間に起きた素晴らしいことを報告するというものだった。それまで喜びも悲しみも分かち合ってきたが、4人は夏休みを別々に過ごしたことで自分自身と向き合う。旅先での出会いと恋、再婚間近の父親に対する複雑な思い、偶然から生まれた少女との友情など、4人の経験をのせたジーンズの旅が終わる頃、彼女たちもひと夏の成長を遂げていた。

Photo: Warner Brothers/Everett Collection/amanaimages

撮影当時「ギルモア・ガールズ」で、現在は「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」で活躍するアレクシス・ブレデルがリーナ、「ゴシップガール」前の10代のブレイク・ライブリーがブリジット、「アグリー・ベティ」などのアメリカ・フェラーラがカルメン、現在は作家や映画監督としても活躍中のアンバー・タンブリンがティビーを演じた。3年後には、同じキャストで続編『旅するジーンズと19歳の旅立ち』も製作された。4人は実生活でも友情を育み、ブレイクは2014年に誕生した第1子のゴッドマザーにアレクシス、アンバー、アメリカを指名している。

『ゴーストワールド』(01)

Photo: MGM/Everett Collection/amanaimages

ダニエル・クロウズの同名コミックを映画化し、クロウズとテリー・ツワイゴフ監督がアカデミー賞脚色賞候補になった『ゴーストワールド』は90年代後半のティーンの憂鬱を描くブラック・コメディだ。ロサンゼルス郊外の町に暮らす幼なじみのイーニドとレベッカは高校を卒業したものの、進学も就職も予定なし。仕事を見つけて共同生活するつもりだが、結局だらだらと過ごしている。

シニカルではみ出し者の2人は周囲の全てに対して毒を吐きまくり。そんなある日、人探しの広告を見た2人はいたずら心で広告主の男性とコンタクトを取る。約束の場所で待ちぼうけを食らう中年男シーモアを隠れて見ていたイーニドは彼に同情し、偶然を装って友達になる。シーモアとどんどん親しくなっていくイーニドに対して、レベッカはコーヒーショップで働き始め、堅実な生活へと踏み出す。

Photo: MGM/Everett Collection/amanaimages

大人になる一歩手前の2人を演じたのは、共に子役から活躍してきたソーラ・バーチとスカーレット・ヨハンソン。彼女たちとつるむコンビニ店員のジョシュを演じているのは、やはり子役出身で今は亡きブラッド・レンフロ。同じ感覚を共有してきたのに、1人は社会に適応し、1人は変わらないままアウトサイダーとなって溝が深まっていく。“永遠ではない友情”という苦い現実が映し出される。2人の気持ちの変化や距離感が、髪やファッションで表現されているのも見どころだ。

『チアーズ!』(00)

Photo: Universal/Everett Collection/amanaimages

カリフォルニア州サンディエゴにある高校のチアリーディング・チーム、「トロス」のキャプテンに抜擢されたトーランス(キルステン・ダンスト)の奮闘を描く『チアーズ!』。全国大会で連勝してきた栄光は、実は他校チームから盗んだ技によるものと知り、振り付けを1から作り直して6度目の全国優勝を目指す。

何も知らなかったトーランスに真実を教えるのは、怪我をしたメンバーの助っ人としてチームに参加した転校生のミッシー(エリザ・ドゥシック)。彼女が前に住んでいたロサンゼルスにあるイースト・コンプトン高校のチーム、「クローバーズ」のパフォーマンスを「トロス」の前キャプテンが盗んでいたのだ。

Photo: Universal/Everett Collection/amanaimages

アフリカ系とラテン系のメンバーで構成される「クローバーズ」は資金難で大会参加もままならないが、キャプテンのアイシス(ガブリエル・ユニオン)は打倒「トロス」を宣言し、優勝をかけた両者の戦いが始まる。トーランスとアイシスのフェアな対抗心は清々しく、これも友情の1つの形だ。

当時16歳だったキルステンは実際に高校でチアリーダーをしていたので、トーランスは自分に最も近いキャラクターだと感じていたそう。一方、ライバル・チームのキャプテンを演じたガブリエルは、同時期に製作されたチアリーディングがテーマの映画『Sugar & Spice』(原題)に出演を希望していたが、「黒人キャストは不要」と言われたという。多様性を重視した脚本とキャスティングの『チアーズ』は、ボックスオフィスNo.1ヒットを記録した。

『クルーレス』(95)

Photo: Paramount/Everett Collection/amanaimages

90年代前半の女子高校生の友情を描く『クルーレス』は、IT関連の描写や、もはや死語と化した流行語の数々に時代を感じてしまうが、ビバリーヒルズに暮らすリッチな女子高生、シェール・ホロヴィッツの魅力はタイムレスだ。ミニスカートにニーハイソックスのシェールを演じ、当時19歳のアリシア・シルヴァーストーンはこの1作で大ブレイクした。

親友のディー(ステイシー・ダッシュ)とショッピング三昧の毎日を送り、誰かと誰かをくっつける恋のキューピッド役や「ダサい女の子=クルーレス(clueless)」をキュートに変身させることも大好き。ディーと2人で、おしゃれに興味ゼロな転校生のタイ(ブリタニー・マーフィ)を人気者にしようと、スタイリングはもちろんのこと、ボーイフレンド選びまで指南する。お節介ではあるけれど、基本は善意なので微笑ましい。シェールは敏腕弁護士の父親を見習って教師相手に成績アップの交渉したり、移民問題についてのディベートで「パーティーは大勢の人が集まる方が楽しいから」と移民受け入れ賛成を主張するなど型破りだが、「ふさわしい相手を見つけるまでは」と恋には慎重だ。

Photo: Paramount/Everett Collection/amanaimages

ありがちなティーンのセレブ像とちょっと違うのは、実はこの物語がジェーン・オースティンの小説『エマ』をベースにしているから。脚本も手がけたエイミー・ヘッカリング監督の愛読書で、1800年代の愛らしい物語を現代のビバリーヒルズに置き換えてみたところ、見事にハマったという。タイを変身させていくうちに自分の愚かさに気づき、元義兄のジョシュ(ポール・ラッド)との関係にも心揺れるシェールが、自分を見つめ直して再びタイやディオンヌとの友情を取り戻す物語は、今の時代には眩しいくらいに心に響く。

Text: Yuki Tominaga

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August 25, 2020 at 04:00PM
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