米エヌビディア(NVIDIA)は、中国蘇州で2019年12月に開催のプライベートイベント「GTC China 2019」において、次世代車載コンピューター「NVIDIA DRIVE AGX Orin」を発表した(図)。CES 2018で正式発表した現行の車載コンピューター「NVIDIA DRIVE Xavier」の次の機種になる。DRIVE AGX Orinは自動車メーカーの2022年モデルを想定して開発したという。
約2年前に正式発表のDRIVE Xavierの中核となるのは「Xavier SoC」と呼ばれるICである。Xavier SoCは台湾TSMCの12nmプロセスで製造され、NVIDIAが独自にマイクロアーキテクチャー設計したARMv8.2-Aコア「Carmel」と、「Volta」と呼ぶNVIDIA独自アーキテクチャーのGPUコアなどを集積する。同社によればXavier SoCの演算性能は30TOPSである。
一方、今回正式発表のDRIVE AGX Orinの中核は「Orin SoC」と呼ばれるICである。Orin SoCに集積されるのは、5nmや7nmプロセス向けという「次世代Cortex-Aコア(開発コード名:Hercules)」と、NVIDIAの次世代アーキテクチャーのGPUコアなどとされる。Orin SoCの処理性能は、Xavier SoCの約7倍の200TOPSだという。NVIDIAによれば、Orin SoCを使ったシステムがISO 26262 ASIL-Dに準拠可能なように、このチップを設計したとする。また、Orin SoCのアプリケーション開発には、Xavier SoCと同じくCUDAやTensor RTなどが使えるため、DRIVE Xavier向けのソフトウエア資産を活用できるという。
ネット上にはOrin SoCに関してさまざまな噂が飛び交っている。例えば、集積されるGPUコアのアーキテクチャーは「Ampere」で、韓国Samsung Electronicsの7nmプロセスで製造される、などである。GPUアーキテクチャー名や製造プロセスは、今回、正式発表されていない。
出典:日経Automotive、2020年3月号 p.32
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