世界中で量子コンピューターの用途開拓が始まった。量子コンピューターの「量子超越性」は米グーグルが実証したが、本当に役に立つのかどうかはアプリケーション次第だ。米シリコンバレーで開催された国際会議「Q2B」から、化学メーカーや自動車メーカーを巻き込んだ熾烈な競争を伝える。
「量子コンピューターの実機は既にある。我々は次の段階として、量子コンピューターの有用なアプリケーション(用途)を真剣に探索するときだ」
カリフォルニア工科大学で理論物理学を教えるジョン・プレスキル教授は2019年12月9日から11日まで米カリフォルニア州サンノゼで開催された量子コンピューターの国際会議「Q2B」の基調講演でこう主張した。
プレスキル教授は、量子コンピューターが既存の古典コンピューターをはるかに超える計算能力を持つと示す「量子超越性」の概念を提唱したことで知られる。その量子超越性は米グーグルが2019年10月に「Sycamore(シカモア)」を使って実証したと発表した。
ただし現在の量子コンピューターは「0」と「1」の情報を重ね合わせた状態で保持できる「量子ビット」のエラー訂正ができないため、有用な用途がまだ見つかっていない。量子ビットの数が少なくエラー訂正ができないことから「NISQ(ノイズがありスケールしない量子コンピューター)」と呼ぶ。
そこで現在、NISQを使った有用なアプリケーションの開発に世界各国の研究者やユーザー企業が挑戦している。グーグルで量子アルゴリズムのチームを率いるリャン・バブシュ氏は「NISQ向けアプリケーションはまだ性能が不確かで適応領域もニッチだが、将来は有望だ」と語る。
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