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Sunday, April 10, 2022

本場っぽい「酔っぱらい鶏」の作り方。ガチ中華な調味料「糟滷(ザオルー)」「酔滷(スイルー)」を入手してやってみた - メシ通

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ガチ中華の街で入手した「ガチ中華食材」

チャーハン、餃子、ラーメンなどが看板メニューのおなじみ「町中華」に対し、現地そのまんまのリアル中華料理が食べられるお店を「ガチ中華」と呼んだりしますよね。

東京池袋埼玉の西川口など、それ系の飲食店が集中する街に行くと、個人的にめちゃくちゃ気になるのが、ガチな中華食材を扱う専門ショップです。店内は見慣れない中国製の調味料などが満載で、ちょっとした海外旅行気分が味わえて楽しいのです。

そんな「ガチ中華食材」を実際に自分でも使ってみたい! うまくいけばガチ中華をおうちで再現できるかもしれません。

そんなわけで、今回入手してみたのがこれです。

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500mlボトル入りの「糟滷(ザオルー)」(左)と「酔滷(スイルー)(右)」。

池袋某店の調味料コーナーにあったのをゲットしたものですが、ネットの通販サイトでも1本200~300円台で購入可能です。

さて、肝心の内容と使い方を見ていきましょう。

  • 「糟滷」はさまざまな具材を漬け込んで「糟貨(ザオフォ)」を作るための漬けダレ
  • 「酔滷」も「糟滷」に類するもので、主に「酔鶏(ズイジー)、通称・酔っぱらい鶏」に使われる漬けダレ

糟貨とは上海、蘇州、杭州など中国・江南地方の夏の風物詩とも言われる名物料理で、糟滷にアヒル、鶏、豚の肉やその内臓類、海老、魚、枝豆などを漬け込んだ冷菜です。

糟滷の主な原料は、黄酒(ホアンチュウ。紹興酒はその一種)と、その酒粕である「香糟(シャンザオ)」、さらにさまざまな香辛料。古くから黄酒の名産地であったことから発祥した調味料のようです。

酔っぱらい鶏用の漬けダレ「酔滷」の材料も紹興酒主体ですが、こちらには香糟が入りません。

ウンチクはさておき、糟滷のラベルに記された原材料をチェックしてみましょう。

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紹興酒、米麹、食塩、香辛料、調味料(アミノ酸)となっています。

紹興酒は日本酒に製法が少し似ており、米などを麹で発酵させてから搾って作るので、原材料の「米麹」とは黄酒の酒粕「香糟」を代替する原料、またはそれに近いものかもしれません。

その筋のマニアになると、このような出来合いの糟滷では飽き足らず、日本では大変珍しい香糟を入手して、わざわざ糟滷から自作するのだとか。

一方の酔滷はどうでしょう。

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糟滷とかなり似た商品ではありますが、ラベルの原材料表記は紹興酒、白酒、食塩、砂糖、香辛料、調味料(アミノ酸)となっており、米麹は入っていません。白酒は中国の蒸留酒です。

実際ふたつを小皿にとって比べてみましょう。

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色合いは糟滷(左)が酔滷(右)より若干濃いめです。

舐めてみると、どちらも紹興酒に塩味、うま味、香辛料の風味がプラスされたような味わいですが、糟滷にはコクを、酔滷には甘味をより強く感じます。

漬け込む具材は前述のようにかなり多岐にわたるようですが、今回は鶏もも肉をメインにしてみます。これに加えて手羽先、鶏レバー、砂肝、そして枝豆も漬け込むことにしました。

日本でよく知られる一般的なレシピよりさらにガチな味わいになることを期待して、さっそく糟貨、そして酔っぱらい鶏を作ってみましょう!

ボトルの糟滷にスパイスも足してみる

まず、漬け込む具材を見ていきます。

具材の分量は、あくまで一例ですので、みなさんのお好みで。

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まず、鶏もも肉2枚。

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砂肝と鶏レバーを200gずつ。手羽先を4本。

写真の砂肝と鶏レバーは撮影のため、200g全量ではなく、一部をバットに取り出しています。

そして枝豆。

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今回は手っとりばやさを優先して冷凍枝豆を使ってみます。

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具材を茹でるときに臭み消し&香り付けで加えるネギとショウガもあるとベターです。

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漬けダレにプラスするスパイスとして、(写真手前から)花椒、桂皮、クローブも用意してみました。

以上のスパイスもネット通販でゲット可能です。

さらに漬け込み用に、具材保存用のジッパー付きビニール袋もあると便利。

さて、鶏もも肉から茹でていきましょう。

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1.5リットルの水を入れた鍋を中火にかけ、ショウガスライスとネギを投入して沸騰させます。塩を小さじ1~2ほど加えてもよいでしょう。

ここに鶏もも肉を入れます。

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肉を入れるといったん沸騰がおさまるので、また沸いてくるまで待ちます。

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全体が均等に茹でられるよう肉をひっくり返し、また沸騰したら鍋に蓋をして火を止め、余熱調理します。20~30分ほど放置しておけば肉の中心まで火が通るはず。
余熱調理は鍋の番をしなくてよいので楽だし、肉も比較的ふっくらと茹で上がります。

手羽先も同じように中に火が通るまで茹でます。

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砂肝と鶏レバーも中に火が通るまで茹でます。こちらは、茹でる前に一口大に切り分けておきましょう。鶏レバーは切り分けたら、冷水にさらしながら血などを掃除します。

すべての具材が茹で上がったら、熱が冷めるまで待ちます。

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鶏もも肉と手羽先は、漬け込み準備完了。

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レバーと砂肝も茹で上がり、熱がとれました。

冷凍枝豆は自然解凍すればOK。

さっそく漬け込んでみます

さあ、漬け込みです。

ジッパー付きビニール袋に、具材と漬け込みダレを入れていきます。

今回は味わいの違いを確認するため、下記のように内容を少しずつ変えて、ばらばらに漬け込んでみました。

漬け込むための糟滷と酔滷の量は、それぞれの肉が浸る程度に目分量で適量入れてみます。

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鶏もも肉1:糟滷で漬け込む。

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鶏もも肉2:酔滷で漬け込む。

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手羽先1:糟滷で漬け込む。

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手羽先2:糟滷に用意したスパイスを加えたもので漬け込む。

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鶏レバー:糟滷に用意したスパイスを加えたもので漬け込む。

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砂肝:糟滷に用意したスパイスを加えたもので漬け込む。

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枝豆:糟滷で漬け込む。

スパイスの分量ですが、一袋に花椒、クローブそれぞれ小さじ1、桂皮は砕いたものを2、3かけ、といったところでしょうか。

それぞれの袋に具材と漬けダレを入れて、空気を抜いて密閉したとき、漬けダレが十分具材にまわるようにしてください。

ちなみに漬けダレ用として使った量は、糟滷が1本半(750ml)、酔滷が1/2本(250ml)ほどですので、参考にしてみてください。

これを冷蔵庫で一晩(10時間ほど)寝かせます。

鶏レバー⇒花彫酒のループが止まらない!

冷蔵庫に置いて10時間経過した鶏もも肉を取り出してみました。

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手前が糟滷で、奥が酔滷で漬け込んだものです。

しっかり味は染みているでしょうか? さっそく切り分けて盛りつけてみます。

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枝豆をサイドにあしらってみました。

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皮と肉のあいだを見ると、プルプルしたゼラチン質がはさまっているのがわかります。これはうまそう。

さっそく、いただいてみます。

……うん! これはかなりイケる。濃厚なうま味と糟滷の独特な風味が鶏肉にしっかり染み込んで、まるで上海の屋台で食べているかのような、かなりガチ中華な味わいになりました。

酔滷で漬けたほうが、より甘味が強く、好みがわかれるところだと思いますが、まずまず成功ではないでしょうか。

脇役ながら糟貨の定番、枝豆も美味ですね。

日本の居酒屋では塩以外の調味料を使った枝豆をあんまり見ませんが、こうして中華風に味付けした枝豆もオツなものです。これはぜひ一度試してみてください。上海料理っぽい独特な香りとお酒の風味が相まって、食べる手が止まらなくなることうけあいです。

次に、手羽先、鶏レバー、砂肝も味わってみましょう。

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ん? これは……手羽先はスパイスを入れたほうが、断然おいしいです! 

より風味が複雑になって、より本場っぽいガチ中華感が増しています。メインの鶏もも肉のほうでもスパイス入りを試せばよかったかもなあ……。

そして、今回の個人的ベストアイテムは鶏レバー。

レバーと糟滷、そして追加で加えたスパイスの風味がすごくマッチしています。レバーの食感もねっとり口の中で溶けるような感じで大変美味。これはお酒がほしくなりますね。

砂肝もコリコリした歯ごたえと、染みた漬けダレの味わいが最高でした。レバーと砂肝を味わったら、これはもう飲まずにはいられません。

もちろん、漬けダレの原料のひとつである紹興酒を合わせるのがベストです。

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糟滷&酔滷を入手したお店にあった花彫酒(紹興酒の一種)を一緒にいただきます。

気づけば、レバー⇒花彫酒⇒レバー⇒花彫酒のループにハマっている自分を発見しました。これはさすがに合いますな。

今回のレシピは家庭用のもっともシンプルなものですが、注意点としては漬け込み時間が長くなると、少々味わいが塩辛く、濃くなりすぎてしまうこと。

うま味に関しても、市販の調味料特有のわざとらしい感じが強く出てしまうので要注意です。 漬け込み時間を数時間~10時間ほどで切り上げるとよいかも。

もう少し手間をかけ、糟滷、紹興酒、鶏のゆで汁を同比率で混ぜ、砂糖少々、スパイス、ネギ、ショウガなどを加えて風味を足し、冷蔵庫で3日間ほど漬け込んでみたところ、より繊細でおいしい仕上がりになりました。

本記事を参考に、みなさんもガチ中華調味料を使った「おうちでガチ中華」に、ぜひトライしてみてください!

※紹介した調味料にはアルコール分が含まれます。子どもやアルコールに弱い方は、加熱してアルコール分を飛ばしてからご使用ください。

書いた人:(よ)

(よ)

「ferment books」の編集者、ライター。「ワダヨシ」名義でも活動中。『発酵はおいしい!』(パイ インターナショナル)、『サンダー・キャッツの発酵教室』『味の形 迫川尚子インタビュー』(ferment books)、『台湾レトロ氷菓店』(グラフィック社)など、食に関する本を中心に手がける。

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