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Sunday, December 10, 2023

あなたが今あるのは、さまざまな人とのご縁があるから ふりかえって思いを整理 - 朝日新聞デジタル

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 朝日新聞Reライフプロジェクトが開催した「終活ワークショップ」では、読者会議メンバーのみなさんが実際にエンディングノートを書く練習をしました。講師は「今すぐできる終活講座」を連載中の遺贈寄附推進機構代表・齋藤弘道さん。自分をとりまく「ご縁」を考え、これからやりたいことのリストも書いてみました。

(司会:Reライフネット編集長・宮崎太介、児林もとみ/
文:松崎祐子、写真:伊藤菜々子)

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「ご縁ディングノート」と名付けた由来を話す齋藤弘道さん(左)=朝日新聞東京本社で、伊藤菜々子撮影

未来を生きていくために、書く 

児林 では実際にエンディングノートを書いてみる時間に入ります。ノートの一部を練習用にプリントに仕立てています。齋藤先生のご説明にそって、実際に書いてみましょう。書きたくないことは書いていただく必要はありません。ポイントを説明していただきながら書いてみましょう。

宮崎太介・Reライフネット編集長(以下、宮崎) 私も実際に書いてみますね。

齋藤弘道さん(以下、齋藤) このノートの趣旨についてお話します。「ご縁ディングノート」の名前の由来みたいなものですが、「人とのご縁を大切にしてほしいな」という思いから、こういう名前にしました。目次のところの上にちょっと書いたんですが、少し読み上げさせていただきます。

 あなたが現在あるのは、家族だけでなく様々な人との「ご縁」によるものだと思います。過去の「ご縁」を振り返り、未来を生きていくために、あなたの想いや希望を整理しましょう。「ご縁ディングノート」はそのガイドとなるように作りました。

 まあ、こういうことです。

 我々にはお父さんとお母さんがいて、自分がうまれる。祖父母は4人、曽祖父母は8人いるわけです。で、10代さかのぼると(先祖は)1024人いるわけです。この一人でもかけてしまうと自分は存在しなかったということですので、まずその先祖を思う。それから先祖だけではないですね。ご家族もそうですし、ご友人であったりご近所のかたであったりとか、これまで生きてきたかたの、そういうご縁に思いをはせながらこのエンディングノートを作っていければな、というところでございます。

私を取り巻く「ご縁」を書いてみよう

齋藤 最初に、そのご縁をどういうふうに表現するかというところですが、練習帳に「ご縁関係図」というものがございます。この「ご縁関係図」を見ていただくと「私」が真ん中にあります。私に近いほうから名前を書いてください、具体的に。

640詳報②ご縁関係図

「私」を中心に、「ご縁」のある人のお名前を書くページ

  左上がご家族、右上がご近所や地縁。左下のほうがお仕事とか趣味、右下のほうはご友人とかだと思います。こんなふうにご両親、兄弟、あとは色々な仲間ですね。バンド仲間とか、友人とか、色々いると思いますけど。自分に近いかたほど縁が深い、関係の深いかたというイメージで書いていただくといいのかなと思います。左上のところに自分の配偶者がいるかたは配偶者や親や子どもなどのお名前を書いて、あとは書けるところに書いてみましょう。

参加者 亡くなった人について書いてもいいですか。

齋藤 亡くなったかたでも、そのかたをめぐって自分の思いなどを書くということがありますので、仮に亡くなっていても思いが強ければ書いていただいていいのではないかと思います。

宮崎 家族、親戚、血縁という欄を書き始めたんですが、いとこはいるのだけれど、ほとんど交流がなくて小さい時に少し遊んだぐらいしか記憶がないな、と。そういう場合は名前を書かなくてもいいんでしょうか?

斎藤 書かなくてもいいし、ちょっとひっかかっているなら書いてください。私も、いとこを書くとですね、母親が10人きょうだいで、父親が4人きょうだいなので、いとこの数が50人をこえるんです。書くと大変なことになります。今すぐに書くのって、けっこう大変かもしれません。顔は覚えているけど、名前が出てこないということも、よくあると思います。ご友人とかがそうかもしれないですね。下のほうにも書いてありますけれど、詳細な情報は(ノートの)後ろのほうに連絡先リストがありますので、電話番号とか住所とかを書いたりすることができます。

 次が私(=自分)に関すること。ここはとても書きやすい部分だと思います。自分の名前を書いて、特に書く欄はないのですが名前の由来みたいなものを、どこかに少し書いていただくのもいいかなと思います。自分の名前がどういうふうにつけられたか聞いてらっしゃるかた、そうでないかたもいらっしゃるかもしれませんけれども、そういうものを書き記しておくと、これを見た人が何か感じ取れるので。

 ちなみに私の名前はですね、弘道(ひろみち)ですが、茨城の水戸に弘道館(=江戸時代の藩校)ってあるんですけど、そこからつけられたっていうのを聞いているんです。なんでそこなのかわからないんですけど。何の縁もないのですが、どうも私の父が好きらしくて、大きくなってから自分一人で弘道館に行ったことがあります。ということで「私」に関することは名前とか住所、本籍地とか、あとで書いていただければいいと思います。

もしも余命1年なら、やりたいことは?

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「私のやりたいこと」は書けそうでなかなか書けないもの

齋藤 で、その次は、「やりたいことリスト」。やりたいことリストというのは、死ぬまでにやってみたいことってやっぱりなんかあるんじゃないかなと思うんですよね。実際に私自身も書いたことがあるんですけど、「死ぬまでにやってみたい100のリスト」みたいなのがある。100も書くのは大変なんですが、ここにあるのは8項目。たくさんあるかたはコピーして何ページも書いてもらえればいいと思います。ちょっと書くのが大変かなと思うかたは、場面の設定をしましょう。いやな場面設定の方法かもしれませんが、仮にですね、「あと余命1年だ」と言われたらと考えてみましょう。

 現実には本当に余命宣告を受けた人はだんだん体力が落ちてくるものですけど、「1年間めちゃめちゃ元気だ、気力も体力も充実している」という仮定で、1年間でできることを書いてみるというのがいいかなと思っています。私も実際に10年ぐらい前にですかね、書いたことがあります。いま思ったことをぱっと書くのが大事なことなのです。あと1年間だったら、私は「富士山に登る」って書いたんですね。その後、毎年登っているんです。そして「トライアスロンをする」ってことも書いたんです。それで本当に今でも続いています。なんで書いたのかはよくわからないのですが、その時に書いたことがすごく大事だなと思っています。

宮崎 私も3つばかり書きました。旅行とかですね。移住するとか、書いたりしているところでございます。

児林 実現できるかな? と考えると書けなくなるので、あくまでやりたいことをどんどん書いていいと思います。そういえば先生、ノートのきっかけになる映画もあったんですね。

齋藤 『最高の人生の見つけ方』という映画がありまして、この中で、女性2人が主人公なんですけれども、ある少女がノートに書き残した「やりたいこと100」のリストをきっかけに、女性2人で次々とやりたいことを実現していく。そういう話なんです。

児林 スカイダイビングをしてみたり、巨大なパフェを食べてみたり、会いたかったアイドルに会ってみるとかですね。これまでの人生でできなかったけれど、「余命1年になったので思い切ってやっちゃおう」と。縁のなかった2人が病院で余命宣告されて出会い、10個ぐらいやりたいことを書き出して1年間でやってみようという旅をするお話で。非常に楽しく、でも泣けるいい映画でした。もし機会がありましたら、ぜひみてください。

齋藤 なんでこんなことをやっているかというと、「自分の人生なので、やりきって生ききって、後悔を残したくない」というのがあると思いますね。お医者さんが書いた『死ぬ時に後悔すること25』という本の中に、やっぱり後悔することって、すごくたくさんあって、「仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと」とか、「会いたい人に会っておかなかったこと」とか、そういうのが書いてありますが、まさにその通りかと思います。それぞれのかたが思っていることを、ここに書き出して、悔いなく生きていくということは大事なことかなというふうに思います。

大切な人に1分あったら伝えたいこと

齋藤 それからですね。「大切な人へのメッセージ」ということで、先ほどご縁関係図に書いていただいたかたに対して、今日の日付とメッセージを書いていきます。これもなんでこんなことをしているのかという話ですが、先ほど「エンディングノートって、生きている時と亡くなった時と、二つの大きな役割があります」とお話しをしましたね。

 「いつ(書くか)」という観点でいうと、今か、亡くなったあとか。「誰に」というと自分自身のために書く、ご縁がある人に残す。あと「何を」っていう観点でいうとメッセージ性のあるものと手続的なものに大きくわかれていると思うんです。今、これから書こうとしている大切な人へのメッセージって、自分自身の心の整理をする部分と、亡くなった後のための両方がある。メッセージを伝えようと考えることが自分にはね返ってくることがありますので、伝えたいメッセージをご縁のある人にまず書いていく、そういう意味合いだと考えて書いていただけるといいかなと思います。手続的なものは他に書く欄がありますので、こちらはどちらかというと自分の「思い」を残していくページです。

 これも場面設定がありましてね。いやな場面かもしれませんが、よくこういうところでお話するのは、死ぬ間際になってベッドに自分がいる。奇跡的に1分間だけ目を覚まして、そこに思いを伝えたい人が目の前にいる、その時に1分間で何を伝えますか? と想像して書いてみてください。そういう場面で、1分ですからね。長々とはかけない。本当に一言か二言しかない。それこそ30字ぐらいで言う。ありがとうだけじゃなくて、ありがとうプラス何かを伝えていく、というその場を想定して書いていただくと、ちょっと助けになるかなと思います。書けるかたは今、書いてください。

児林 なかなか想像すると難しいですね。誰を思い浮かべるかというのは人それぞれだと思いますけど、実際に「あと1分間だけ話せる」となった時に何を言い残すか。けっこう大事なことかもしれませんね。

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 来年1月30日 (火)午後、東京本社で開催。「今すぐできる終活講座」の齋藤弘道さんにわかりやすく解説していただきながら、みんなで楽しくエンディングノートの記入練習をします。ワークショップの参加者全員にReライフロゴ入り「ご縁ディングノート」(非売品)や記入練習用全ページプリント、齋藤さんの「終活相談60分無料チケット」などをプレゼント。くわしくはこちら

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  • 齋藤弘道
  • 齋藤 弘道(さいとう・ひろみち)

    遺贈寄附推進機構 代表取締役、全国レガシーギフト協会 理事

    信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の「全国レガシーギフト協会」)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。

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