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Sunday, August 20, 2023

データ戦略はすべての社員を巻き込むことが重要だ リーダーに求め ... - DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

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データ戦略はすべての社員を巻き込むことが重要だ

MirageC/Getty Images

サマリー:データ活用により、多くの面で社員のパフォーマンスが向上することがわかってきた。しかし現実に目を向けると、莫大な投資を行っているにもかかわらず、実際の経済的な価値はあまり生み出されていない。自社のビジネ... もっと見るス戦略にデータを全面的に取り入れるためには、どのような発想をすればよいのか。本稿では、筆者らの研究に基づき、いま企業が取るべき3つのステップを提案する。 閉じる

データが経済的価値を生み出していない現実

 この数十年間で明らかになったことがあるとすれば、それはデータの持つ力が極めて大きいということだ。スモールデータ、ビッグデータ、統計、アナリティクス、人工知能(AI)など、社員がさまざまなレベルのデータを活用することにより、多くの面で彼らのパフォーマンスが向上するとわかってきた。

 最も高いレベルに目を向けると、AI、特に生成AIは、ビジネスのあり方を根本から変える可能性を持っており、最も注目を集めている。一方で、少量のデータを活用した基礎的なデータ分析も、意思決定の質を改善させ、ビジネスプロセスをコントロールして改善し、顧客に関する理解を深め、プロダクトとサービスの質を向上させるうえで、目を見張る効果がある。一般的な報道を見る限り、データ、アナリティクス、AIが世界を席巻しつつあるように思えてくる。

 しかし、じっくり検討すると、いわゆるデジタルネイティブ企業を別にすれば、もっと暗い現実が見えてくる。莫大な投資が行われ、素晴らしいツールが導入されて、しかるべき資質を持ったアナリストとデータサイエンティストたちを大量に投入しているにもかかわらず、AIの進歩のペースは遅く、多くのコストがかかり、確実性に欠ける。

 データサイエンスのモデルは、ほとんどの場合、実際の生産活動に活用されておらず、現実の経済的な価値を生み出していない。また、大半の最高データアナリティクス責任者(CDAO)の在任期間はあまりに短く、多くの成果を上げることを期待するのは非現実的だ。

 そして、「普通の社員」──「データ」やそれに類する言葉が肩書きに含まれていない人たち──は、自分にどのようなことが期待されているのかわかっていない。そして、明るい未来の到来を喧伝する言葉とは裏腹に、アナリティクスとAIが自分たちの仕事のあり方を様変わりさせ、さらに職を奪うのではないかと恐れている。また、ほとんどの企業はスモールデータを嫌い、その結果として、手軽に獲得できるビジネス上の恩恵を手にできず、より難しい問題に取り組むために必要な筋力を育む機会も失っている。

「データドリブンの組織文化」を築く必要があると主張することは簡単だ。しかし、それがどのような文化かを具体的に明らかにし、実際にそのような文化を築くことは、そう簡単ではない。それは、ほとんどのデータ専門家のスキルの範囲をはるかに超えている。

 アンケート調査によれば、実際にデータドリブンの組織文化を持っている企業は比較的少数に留まるようだ。それに、現状のデータの質では、大規模なデータ分析やデータサイエンスを支えることはとうていできない。

新鮮な思考が求められている

 掘り下げて考えると、このように期待はずれの状況が生まれている根本的な原因は、容易に理解できる。つまり企業は、自社の既存の組織図にデータを無造作に押し込み、CDAOを任命し、部署の垣根を超えた取り組みの拠点をつくり、高度な教育を受けたデータサイエンティストを採用するだけで満足し、その人たちを野放しにして、ガイドラインの設定や監督をほとんど行っていないのだ。

 一部に成功例があることを否定するつもりはない。しかしそれは、粘り強く努力できる人たちが一握り存在することを意味するにすぎないと考えたほうがよい。そのような人たちは、極めて不利な状況を覆し、さまざまな障害を乗り越えて初めて成功できたのだ。

 データに関連した取り組みのリーダーを務めている人たちも、こうしたことに気づいていないわけではない。質の悪いデータにまつわる問題に対処するために、データ関連の資格の持ち主やエンジニアを採用し、実務との結び付きを改善するためにプロダクトマネジャーを採用している。しかし、そうした問題解決策は、手の込んだ(けれども、おおむね不毛な)「モグラ叩き」にしかなっていないのが現実だ。現在の道をこのまま進んでも、その先に成功が待っているとは考えにくい。

 こうしたことよりも、いま必要とされているのは、データに関するまったく新しい「マネジメントのパラダイム」だ。ここで言う「マネジメントのパラダイム」は、共通の言語と、データの活用方法に関する大きなビジョン、部署の垣根を超えたデータ統合の方法がはっきりしている組織構造、そして関係する人すべての役割と権限の明確化を伴うものでなくてはならない。

 最終的には、企業文化、大学やソフトウェア業者との関係、自社の方針など、データの有効な活用を促進したり妨げたりする要素のすべてがここに統合される必要がある。この新しいパラダイムの下では、ビジネスにおけるデータ、アナリティクス、AIの活用に関して、より幅広く、より統合されたアプローチが実践される。

 では、新しいパラダイムへ移行するために、企業はどのようなステップを実行すべきなのか。自社のビジネス戦略にデータを全面的に取り入れるためには、どのような発想をすればよいのか。その過程では、どのような目標を追求すべきなのか。そして、まずはどのようなことから着手すべきなのか。

 これまで筆者らは、これらの問いに向き合ってきた何百もの企業および政府機関について研究し、そうした何十もの組織と実際に関わり、そのほかの関連するパラダイムに関しても経験を積んできた。以下では、そのような研究と経験に基づいて、いま企業が取るべき3つのステップを提案したい。その3つのステップには、互いに関連がある。

「デジタルネイティブ企業」をお手本にする

 まず、お手本の候補として、グーグルを挙げて紹介したい。グーグルでは、データが中心的な地位を占めており、その証拠に、最高データ責任者(CDA)や最高アナリティクス責任者(CAO)という役職すら必要と考えられていない。ただし、最高意思決定責任者という役職は存在する。その人物の最も重要な使命は、データドリブンな意思決定の利点について情報を広めることである。

 グーグルは、ピープルアナリティクスを導入する草分けとなった企業であり、法務部門でもデータ分析を徹底的に活用している数少ない企業の一つである。データ分析とAIは、同社のほとんどのプロダクトとサービスに織り込まれており、同社のCEOは2016年の時点で早くも「AIファースト」の方針を打ち出していた。実際、今日の生成AIシステムで用いられている多くのアプローチに先鞭をつけたのは、同社だった。

 ほかのデジタルネイティブ企業、フェイスブックとその運営会社のメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドットコムなども、社内で幅広くデータ分析とAIを活用している。筆者らの研究とコンサルティングの経験から見えてきたのは、旧来型の企業とは異なり、この種の企業では、データ活用のリーダーを務める人たちがデータ関連ツールの重要性を説くためにあまり時間を割く必要がないということだ。そのようなツールを用いることは当然と考えられており、積極的なデータ活用は組織文化に不可欠な要素と見なされている。

 いくつかの旧来型企業は同様のアプローチを取り入れようとしているが、そうした取り組みは十分とはいえない。その中で注目すべき例の一つが、東南アジア最大の銀行であるDBS銀行のケースだ。CEOであるピユシュ・グプタは、同行の未来の競争相手は旧来型の銀行ではなく、アリババや同傘下のアント・フィナンシャル、テンセントなどのデジタルネイティブ企業だと主張した。そして、そのような企業と競争するためには、それらの企業と同等、もしくはそれを上回るレベルで、データを収集し、マネジメントし、分析する必要があると考えている。

 そこで、DBS銀行は、1000人を超すデータサイエンティストとエンジニアを採用・育成し、独自のAIアプリケーションを開発した。さらに、幅広いAIリテラシープログラムを採用し、社内のあらゆる部署でAIのユースケースを開発するよう促している。

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